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入門レベルのUXライターに求める5つの資質

入門レベルのUXライターに求める5つの資質

翻訳記事 Sep 09, 2022

この記事はUX Planetのブログ: 5 Qualities I’m Looking for in an Entry Level UX Writerの翻訳転載です。著者のプトゥ・M・ウィジャヤさんの許可を得て公開しています。


Photo by Bench Accounting on Unsplash
 

この2年間、私が担当してきたことのひとつに、UXライターの採用があります。

インドネシア・ジャカルタでは、UXライターの数は限られています。経験豊富なUXライターはユニコーンのように珍しく、彼らのほとんどが大企業で幸せな生活を送っています。時には、新卒や転職組しかなれない場合もあります。

ライティングの経験があることが望ましいですが、UXライティングのキャリアを始めるのにライターである必要はありません。ここでは、私がUXライターの初級者を採用する時に求める資質を紹介します。さあ、始めましょう!

1. 読書家であること

「読む時間がないのに、どうして書くための時間(道具)があるのか」 - スティーブン・キング

アメリカの有名な小説家が一文でまとめています。

読書は新しい言葉に触れることで、私たちのボキャブラリーを増やしてくれます。新たな言葉があなたの辞書に加われば、さまざまなテイストやスタイルの文章も書くための、さまざまな素材を手に入れられます。これは、あなたの仕事を前進させるのに役立つものです。

じっくり読んでいると、文法的な間違い、スペルミス、間違った言葉の使い方、一貫性のないトーン、歯切れの悪いコピーなどを見つけられます。何をやってはいけないかを教えてくれたのです。

読めば読むほど、他のライターの仕事を見つけ、感銘を受ける機会が増えていきます。無意識のうちに、そのような良い文章や読み物を、すべて自分の仕事に取り込めるようになるのです。

ライターになりたければ、まず読書家になることです。読書は書き方を学ぶ最良の方法です。

2. 好奇心が強い

コンピュータが誕生して以来、ユーザーインターフェースには言葉が使われてきましたが、UXライティングは比較的新しい職業です。この学問はまだ始まったばかりで、この先も多くの可能性と発見を秘めています。画面上のテキストから、SiriやAlexaのような音声アシスタントに進化したことを想像してみてください。

私はUXライターとして活動し始めた頃、UXライティングに関する記事や書籍を読みあさりました。4年前、私は「Clear, Concise, Useful(明快、簡潔、役に立つ)」のマントラに従って文章を書くようになりました。今日ではこの3つだけでは不十分で、ユーザーインタビュー、ワークショップ、コピーテスト、行動経済学、ボイス&トーンのフレームワーク、用語集など、ありとあらゆるものが存在します。

UXライティングの分野は進化しており、好奇心を抱かずにはいられません。

好奇心があれば、もっと質問したい、未知の領域を探検したい、さまざまな方法を試したい、新しいフレームワークを構築したい、率先してプロジェクトを始めたい、と思うようになります。そうすることで、あなたのスキルは雪だるま式に向上し、新しいUXライティングの仕事ができるようになるのです。

好奇心は、学習をより効果的で楽しいものにするという研究結果もあります。

UXライターとしてのキャリア初期に参加した講演やワークショップの一部をご紹介します。画像はすべて筆者によるものです。

3. 解決者であること

「UXライターはデザイナーである」 - ジョン サイトウ

デザイナーは、問題を課題として捉えます。問題を脚色したり避けたりするのではなく、解決策を練ろうとします。

Xboxや現在のGoogleで活躍するUXライター、トーリー・ポッドマジェルスキーの言葉を借りれば、「UXライターは、ユーザーが体験を理解し、自信を持ち、そして最も大事なこととして、彼らがそこでの目的を果たせるように言葉を使う」のです。

私の考えでは、UXライターは、ユーザーがプロダクトを使う際に、ゴールに到達できるように導いて、その過程で直面する問題を解決する手助けをします。例えば、フローが単調な場合は、楽しい流れにする。操作手順が長すぎるなら、シンプルにする。ユーザーがエラーに遭遇したら、解決策を提示する。

他人の問題を解決する前に、あなた自身が問題解決者であるべきなのです。

4. 書くことを楽しむ

ジャカルタのある敏腕UXライターは「UXライティングは90%が準備、10%がライティング」と言っていましたが、UXライターになりたての頃はたくさん書くことになるでしょう。

私が広告代理店のジュニアコピーライターだった頃に指導してくれたクリエイティブディレクターは、「ヘッドラインを出したければ、最低でも50個のヘッドラインを書け」とよく言っていました。

いったいあれは何だったのか。

はじめは、負担になるのではと思いました。でもその逆で、楽しかったんです。私は模索する作業が好きなので、下書きやブレインダンプが楽しかったのです。コミュニケーションの要点をまとめ、キャッチーで、ビジュアルにぴったり合う完璧なヘッドラインができたときは、勝者のような気分でした。

UXライティングでは、そのほかにも、見出し、ボタン、ポップアップメッセージ、ページタイトル、ラベル、空白の画面、等々を書くことになるので、さらに書く必要があります。

書くことが楽しいと思えないと、UXライターとして毎日が苦痛になります。



Bartle Bogle Hegarty Pencil. Source: Google.

5. レジリエンス(回復力)があるか

私が人材を採用する際の基準としているのは、「レジリエンス(回復力)」です。私にとっては、レジリエンスは誰もが持っていなければならない基礎的なスキルです。

レジリエンスのある人は、自分のリソース、強み、スキルを活用して、課題を克服し、挫折を乗り越えていきます。道のりはいつも晴れやかとは限りません。 厳しいスケジュール、急な依頼、連絡ミス、直前のフィードバックなど、さまざまなことに日々直面することになります。

また、一生懸命に取り組んだプロジェクトに、ステークホルダーから批判的な意見が寄せられるかもしれません。思い入れのあるプロジェクトが、上層部の意向で中止になることもあります。8時間以上寝ずに作ったコピーが、ビジネスチームが5分で作ったものに取って代わられるかもしれない。

そんなことはよくあることです。デザイナーとライターの比率が1:1であることは稀で、あなたの時間は限られており、常に前進し続けなければなりません。

レジリエンス(回復力)は、正気を保つのになくてはならないものです。

要約:私が入門レベルのUXライターに求める資質。

  1. 読書家であること。ライターになりたいなら、まず読書家である必要があります。
  2. 好奇心が旺盛な人。好奇心は、学びをより効果的で楽しいものにします。
  3. 問題を解決できる人。UXライターはデザイナーであり、デザイナーは問題を解決します。
  4. 書くことが好きな人。書くことを楽しめないと、UXライターとして毎日が苦痛になります。
  5. 回復力がある。何が起きても、正気を保つために回復力が必要です。

以上、元グラフィックデザイナーからUXライターに転身した私がお届けしました。



執筆者プロフィール:プトゥ・M・ウィジャヤ(Putu M. Wijaya


プトゥ・M・ウィジャヤは、インドネシアのオンライントラベルサービスtiket.comのリード・プロダクトライターです。2021年にはMediumのTop1000Writerにも選出されています。
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