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ライティングは敬意をもって - ユーザーもひとりの人間です。大切に扱いましょう

ライティングは敬意をもって - ユーザーもひとりの人間です。大切に扱いましょう

翻訳記事 Jan 19, 2022

この記事はMediumの記事:  Writing with respect の翻訳転載です。著者ニック・ディラーロさんの許可を得て公開しています。

良いライターになるにはどうするか。それは、敬意をもって書くことです。

製品に対する敬意。そして読む人に対する敬意。これは当然のようで、実行するのはなかなか難しいものです。しかも、ますます希少になっています。

多くの企業やデジタルプロダクトのライティングは、読み手に敬意を払っていません。そうした企業やプロダクトのインターフェースは、退屈な見出しに使いにくいナビゲーションメニュー、統一されていないブランドボイスに溢れています。「グロースハック」という新語はもっと最悪です。欺瞞的で迷惑な、時には不法な言い回しを使い、混乱や誤解を招くように設計されています。

敬意をもって書くということは、単に「親しみやすさ」や「人間らしさ」といった、デジタルでよく言われる表現をするということではありません。それは、言葉の持つ力がどれほど人々の感じ方に影響を与えるかを認識することです。

ライティングは敬意をもって。


すぐにでもできることがたくさんありますが、今回はそのうちの8つを紹介します。

自分と同じくらい賢い人に向けて書く

ただ賢いだけではありません。自分と同じくらい賢い人です。敬意をもって書かれた言葉は、ユーザーの知性をちゃんと認めているものです。たしかに、ユーザーはそのプロダクトを使うのは初めてかもしれませんし、特定のテーマについてあまり詳しくないかもしれません。でも、そのようなユーザーであっても賢さは変わりません。なので、思いやりのない決めつけをするような言葉は使わないこと。どのような言葉を使うか、それが人々にどのような感情を抱かせるか、よく考えてみましょう。


左の文章は、見下したような、意地悪な印象を与える可能性があります

 

理由を説明する

個人的な質問をする必要がありますか?それとも機密情報を得る必要がありますか?背景を説明することで、ユーザーを尊重しましょう。例えば、税金の関係上、法律でユーザーの自宅住所を取得することが求められている場合。あるいは、ユーザーの進捗状況を保存するためにメールアドレスが必要な場合もあります。どんな理由であれ、真実を伝えましょう。もし、聞く必要がないのであれば、質問を完全に削除することも考えてください。

 
お金、性別、病歴。あなたのプロダクトが個人的な事項に触れるなら、正当な理由が必要です

 

どの訂正も簡単にできるようにする

完璧に設計されたプロダクトでも、必ず問題はでてきます。アップロードの途中でWi-Fiがダウンすることもあるだろうし、間違った住所に荷物が届けられることもあるでしょう。このような混乱が起きた場合は、それを認めましょう。そして、すぐに解決策や次のステップを提示しましょう。物事を素早く訂正できるようにすることが、ユーザーの尊重になるのです。ユーザーが設定のページに移動したり、カスタマーサポートを探し回らなければならなかったりするなど、あってはなりません。

可能であれば、ひとつの問題に対してワンクリックで片付く解決策を用意しましょう

 

ユーザーを責めない

これを簡単にやる方法は、一人称の文章を使わずに書くことです。具体的には、"I (私は)"という単語を削除し、シンプルな文の断片で書くのです。以下のような小さな、微妙な変化で、ユーザーの感じ方はまったく変わってきます。確かに、パスワードを忘れたのはユーザーです。しかし、それをこき下ろす必要はありません。


主語を省いた文章で、“私が “というをニュアンスを出さずにエラーやミスを伝えられます

 

スキップして先へ進めるようにする

最初の段階での詳細なイントロは役に立つでしょうし、パーソナライズされた体験は素晴らしいものです。とはいえ、すぐにでもプロダクトを使い始めたい人もいます。選択肢を用意してユーザーの時間を尊重しましょう。ゲストアカウントでチェックアウトさせてあげてください。思い切って、ログインやメールアドレスの取得を必要なステップから排除するという手もアリかもしれません。アカウントを作成したいと思えば、ユーザーはアカウントを作成するものです。


スキップできるようにしましょう。ユーザーに後で完了させてあげてください

 

大きな決断はゆっくりと

大抵の場合、速いのは良いことです。しかし、UXライティングでは、時には物事をスローダウンさせ、体験にひっかかりを与えることも必要です。例えば、アカウントを永久に削除するような場合。あるいは、ソーシャル セキュリティーナンバー(社会保障番号)のような個人情報を提供する場合。こうした場面では、より多くの背景説明が必要になることがあります。すべてがシンプルで迅速である必要はないのです。


ひっかかりを与える方法はたくさんあります。ここでは、その3つを紹介します

 

何にお金がかかるのかを説明する

価格は重要です。料金は目につく場所に表示しましょう。必要な情報を提供することで、ユーザーを尊重しましょう。解約金や自動更新など、将来的に費用が発生する可能性があるものについても、同様に明確にしましょう。騙されてお金を払わされるようなことは、決してあってはならないことです。


このような「グロースハック」は、ユーザーへの敬意に欠け、迷惑です。価格を明記しましょう

 

 嫌味は出さずに、明快に書く

ユーモアやクセの強さには注意が必要です。ユーザーの決断が、悪意のある判断に感じられることがあっては、絶対にいけません。確信がもてない時は、余計な「スタンス」やクセのある「うまい言い方」は取り除きましょう。やり取りをニュートラルに保つことで、より明快なライティングにできます。


嫌味なボタンやリンクはすべて書き直しましょう。とにかくシンプルに


翻訳:Kanako Noda


執筆者プロフィール:ニック・ディラーロ(Nick DiLallo

ニック・ディラーロは、デジタル住宅ローン融資のスタートアップ Better のUXライター、ブランドボイスのグループディレクター。過去にはブルックリンのWork&Coのグループディレクターを務め、個人のクライアントにはApple、IKEA、Airbnb、Etsyなど多数。

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