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解約フロー:ユーザビリティとビジネスのバランスを両立する方法

解約フロー:ユーザビリティとビジネスのバランスを両立する方法

翻訳記事 Sep 17, 2022

この記事はMediumのブログ: Cancellation flow: how to balance usability and businessの翻訳転載です。著者のキャロライン・リニャレス さんの許可を得て公開しています。

解約フローの設計は、簡単な場合もあれば、きわめて複雑な場合もあります。それは主に、あなたの会社のガイドライン、あなたが扱っているプロダクトやサービスによります。また、ユーザーにとってより使いやすく、企業にとって不利益にならない代替案を出せるかにもよります。こうした背景と取りうる可能性を知ることで、クライアントの情報を引き出し、解決の道筋を示しやすくなります。そして、お互いにとって現実的で価値ある解決策を見出すことができるのです。

特に、通信会社や銀行のように顧客の囲い込みを行なっている企業では、これは実に厄介な仕事です。解約手続きで「関門」を作る必要があるため、その限度を考えつつも、最高の体験を作り上げなければならない、難しい状況に置かれているのです。

電話応対では、個人情報などの確認に非常に時間がかかり、うんざりするような手順が繰り返されます。しかし、アプリやWebサイトでは、こうしたフローは(リテンションは必要かもしれませんが)それほど疲れるものではありません。ブランドに対するクライアントの評価もポジティブに変えられるでしょう。

より複雑なシナリオを想定した場合、解約フローを構築する際に、違いを生むいくつかのポイントを明確にすべきだと私は考えています。ここでは、ユーザーエクスペリエンス全般を考慮しつつ、テキストの観点から考察しています。

これらの分析は、URAのフロー、ベンチマーク調査、クライアントの意見など、さまざまな調査から得られたものです。また、私の同僚であるアクセンチュアの素晴らしいUXデザイナー、カミ・コレアが開発した、現在進行中の解約フローのプロジェクトにも採用されました。これらの結果が、皆さんの今後のプロジェクトに役立つことを願っています。

1.ユーザーが解約オプションを探せるようにする

まず、ユーザーがWebサイトやアプリの中で、解約オプションを見つけられることが大切です。当然ながら、階層に優劣を付けてはいけません。そして、簡単に見つけられなければなりません。結局のところ、ユーザーがオプションを見つけられなかったとしても、あきらめることはなく、次のようになるだけです。

  • カスタマーサポートに電話する。
  • ソーシャルメディアやアプリストア、その他のチャネルで不満を漏らし、あなたのブランドに対する印象を悪くする。
  • あなたはユーザーに対して誠実でなく、控えめに言っても不誠実である。

ですから、ユーザーに解約オプションをきちんと用意し、見つけられるように注力すべきです。もし誰かがプロダクトをキャンセルしたいと思えば、必ずその方法を見つけ、実行するでしょう。重要なのは、ユーザーを惹きつける方法を見つけることですが、これは後のプロセスで解決することになります。

2. ナゼを理解する

プロダクトの品質、価格の上昇、コスト削減、あるいはユーザーがより費用対効果の高い他社を選ぶケースなど、ユーザーが解約を決めるにはいくつかの要因があります。

ユーザーが解約を決める際の動機を理解することは(戦略を考えたり、説得したりするためだけでなく)自社がどこで失敗しているかを把握するのにも必要です。

そのため、ユーザーに解約する理由を尋ねて、プロダクトを評価してもらいましょう。わかりやすい回答例をあらかじめ用意しておくのもいいですが、自由記入形式にして、ユーザー自身が体験したことを詳しく話したり、問題点をコメントしたりできるようにするのもいいでしょう。

余計なお世話かもしれませんが、解約フローではなるべく文章をシンプルにまとめましょう。ユーザーが手続きを終えるまでの道のりは平坦ではなく、必ずや不快な思いをすることになります。ですから、親しみやすく、わかりやすい文章を考えるべきです。

3. 人物像を描く

あなたの施策の影響範囲と、その限界を理解するには、誰が解約しているのかを知ることが大切です。ユーザーの人物像を整理することで、彼らがどの程度、継続利用する可能性があるのか、それぞれのケースで何が有効で、何がそうでないのか、どのような戦略を立てたら良いのかを簡単に見極められます。

例えば、満足度が低く、何を言っても、何を提供しても使い続けてくれないお客様がいますこのような場合、しつこく言ってさらに迷惑をかけるより、簡単に解約できる方法を用意したほうがよいでしょう。しかし、例えば金銭的な問題で解約される場合などには、価格や特典を充実させることで引き留められるかもしれません。

4. 誠実な取引で、ユーザーの信頼を取り戻す

カスタマーサービスに関して言えば、デジタルエクスペリエンスの利点の1つは、ユーザーの行動を先読みして、ある程度コントロールできる状態に保てることです。これまでの解約方法は、何度も手順を踏ませ、あるセクションから別のセクションへ移動させ、最終的にはクライアントを疲れさせて、怒らせるというものでした。これらの方法とは異なり、デジタルエクスペリエンスでは、すべてがより誠実に感じられるような新たな戦略を取り入れることができます。選択肢をわかりやすく伝えること、そして手数料や消費税の情報をインターフェースできちんと説明し、それぞれの解約の場面で何がどうなるのかを伝えることが大切なのです。

ユーザーに嫌われるような施策には意味がありません。他のやり方でサービスを続けてもらうように説得し、強制的にサービスを利用させるのではなく、メリットを感じてもらうようにしなければなりません。ユーザーがうんざりする瞬間はどこなのかを見極め、「ほっと」できる時間を提供することで、やりがいを感じてもらえるかもしれません。特別なオファーやボーナス、「もうすぐリクエスト完了」というシンプルなメッセージを送るなど、さまざまな方法があります。あなたのできる範囲で、ユーザーの不快感を和らげ、ダメージを少なくする方法を分析してみてください。

謙虚になり、自分のミスを謝罪することは、クライアントの信頼を取り戻す最善の方法です。そうすることで、あなたの会社が進んで改善しようとしている意思を伝えられます。どのような取引においても、誠実な対応、謝罪、気遣いを示すこと、そして手を差し伸べることは、お互いに良好な関係を築く上で欠かせません。そうやって、信頼を勝ち取ってください。

  • わかりやすく、親しみやすい言葉で話す。
  • 特別なメリットを提供する。
  • 流れの中で、さまざまなタイプの割引を提供する必要性を検討する。
  • プロダクトのあらゆる利点をユーザーに思い出させる。

思い出して:ユーザーが安全だと感じ、あなたの会社を信頼すれば、再び訪れてくれる可能性が高くなるのですから、良い印象を与えることが大切です。



執筆者プロフィール:キャロライン・リニャレス(Caroline Linhares


キャロライン・リニャレスは、ファッションECサイトZalandoの経験豊富なコンテンツデザイナーです。
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