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UXライターのチェックリスト:効率の良いUXライティングのワークフローを実現するための6つのステップ

UXライターのチェックリスト:効率の良いUXライティングのワークフローを実現するための6つのステップ

翻訳記事 Feb 09, 2022

この記事はFrontitudeのブログ: The UX Writer’s Checklist: 6 Steps for an Efficient UX Writing Workflowの翻訳転載です。著者のトマー・ガッバイさんの許可を得て公開しています。

UXライティングが組織で定着するにつれ、UXライターが自分のコピーに責任を持つだけでなく、プロセスを合理化し、コピーを中心に据えた特定のワークフローを作り上げることが、ますます重要になってきています。

 

コピーとデザインは、プロダクトを開発する際の2つの重要なパズルのピースです。そして、このブログでも以前紹介したように、UXライティングが話題になっているにもかかわらず、多くのチームにおいて主導権は今なおデザイナーにあり、コピーは後回しにされたままです。しかし、今こそが変化の時。コピーがデザインよりも先に、あるいは少なくともデザインと同時に進める時です。ユーザーエクスペリエンスは、コピーにかかっています。

私たちは、トップクラスのスタートアップ企業や大企業の100を超えるチームに、そのプロセスやコンテンツデザインの位置づけについて話を聞きました。この記事では、UXライターが実践できるUXライティングの6つのステップを紹介します。このステップにより、シームレスなUXライティングワークフローを確立し、開発の最前線という本来あるべき場所で、コピー主導で作業を進められます。さらには、構想からレビュー、編集までの途中過程も効率化できます。(正直になりましょう。何回にもわたる編集とやり直しの往復は、常に起きていますよね。)

1. デザインの前に計画/調査する

デザインについて考える前に、ユーザーに何をしてほしいのか、ユーザーからどんな情報が必要なのか、ユーザーは何を知る必要があるのか、ユーザーはどう感じるのかなど、具体的な機能やフローで解決しなければならない重要なポイントをすべて整理しておきましょう。そうすることで、こうした疑問点をすべて解決した上で、コピーの構成や、必要なコピーの量、コピーの内容を決めることができます。私たちが話を聞いたライターの大半はこの作業をGoogle ドキュメントで行なっており、それを「言葉の集積場」として構築していました。レイアウトや構造は、非常にざっくりとした指示に基づいている場合が多く、ここでは、あらゆるアイデアとコピーを自由に集め、ブレーンストーミング、下書きを行ない、蓄積することができます。

2. デザイナーと連携する

UXライターの見識は貴重です。だから、デザイナーの領域に土足で踏み込んでいると感じる必要はありません。むしろ、ライターと一緒に仕事をすることで、デザイナーはもっと良いメッセージの伝え方やブランドの伝え方を、自由に、のびのびと発想できるようになります。美しいデザインも、それだけでは意味がなく、コピーとデザインが組み合わさることで、プロダクトは機能するのです。

デザイナーもまた、ワイヤーフレームや基本的なモックアップの作成など、事前に計画/調査を行なっているのが理想的です。その上でライターと連携すれば、デザイナーは、ゴールや期待値の設定、またプロダクトのルック&フィールの構築についての影響力を持ちつつ、双方がある程度具体的なアイデアを共有できます。最終的には、ライターとデザイナーの両方が同じ認識で、同じページ上で作業をする必要があります。実際に会っての同時作業であれ、デザインツールを使った共同作業のセッションであれ、それは同じことです。

"ライターと一緒に仕事をすることで、デザイナーはもっと良いメッセージの伝え方やブランドの伝え方を、自由に、のびのびと発想ができるようになる"

3. 一貫性を確保する

UXライターであれば、自分の文章が単独で存在するわけではなく、プロダクトやプラットフォーム、それらを包括するブランド、さらには特定の市場セグメントや業界の一部であることを知っているはずです。そのため、一貫性は特に重要です。ユーザーは、プロダクト全体で同じ用語を目にし、その用語が他のプラットフォームやブランドで目にする用語と一致することを期待しています。また多くの場合、ユーザーはブランドボイスによって、他のプロダクトではなく、あなたのプロダクトを選んでいます。そのため、ブランドボイスに違和感があったり、一貫性に欠ける気がしたりする場合、ユーザーはそれに気づくものです。

事前の調査やデザイナーとのセッションで集めたインプットを元にライティングを始める際は、次の点を確認しましょう。1)コンテンツスタイルガイドを作成・管理する。(AppleやShopifyが参考になります) 2)コンテンツデザインシステムを作成・管理する 3)コピーを書いたドキュメントやモックアップに戻って、これまであなたの組織が他のプロダクトやインターフェースで使ってきた言語を確認する。

"ユーザーは、プロダクト全体で同じ用語を目にし、その用語が他のプラットフォームやブランドで目にする用語と一致することを期待している"

4. デザイン上でコピーをテストする

以前にも書きましたが、コピーは、FigmaやInVision、Frontitudeなどで、デザイン上に直接書き込むのが一番です。様々な理由で、デザインツールを使えないライターは多いと思います。コピー編集のサンドボックスとしても機能するFrontitudeを使えば、状況や具体的なデザインの制約を完全に把握した上でデザインの中に書き込むことができるので、後でデザイナーと何度もやり取りする必要がありません。コピーをデザインに統合する段階で初めてコピーは「成熟した」デザインと出会うので、デザインの変更や微調整が必要になる場合があります。そのため、文脈を完全に把握してコピーを書くことで、コピーとデザインを一致させるために必要なやり直しの回数を大幅に減らせます。

5. チームメンバーや関係者からフィードバックを集める

UXライターは、組織内のさまざまな人と仕事をします。言い換えれば、あなたのコピーに最終的なゴーサインが出るまでに、誰もが知るいくつかの編集段階を踏む可能性が高いです。多くのチームでは、まず数人のUXライターが参加する社内のコンテンツ批評から始まります。その後、マーケティングチームがブランドイメージを確認し、法務チームが法的な問題やコンプライアンスを確認し、会社が守れない約束をしていないかどうかをチェックします。スタートアップであれば、CEOや他の最高経営幹部が戦略的な点からコピーを見直すこともあるでしょう。

コピーをさまざまなチームメンバーや関係者と共有する場合、必ずデザイン上で確認してもらうようにしましょう。デザインツールやプロトタイピングツールでコメントに対するフィードバックを管理することもできますし、Frontitudeにデザインをアップロードして、共有リンク機能を使って共有し、フィードバックを収集することもできます。Google ドキュメントやスプレッドシートでコピーをレビューするのは、デザインの背景が欠落しているのでお勧めしません。この段階ではデザインが非常に重要です。

"UXライターは、組織内のさまざまな人と仕事をするため、コピーに最終的なゴーサインが出るまでに、誰もが知るいくつかの編集段階を踏む可能性が高い"

6. 作業と意思決定を記録する

記録はUXライティングのプロセスにおいて重要な部分ですが、骨が折れるとか、余分な作業に感じるといった理由で軽視されがちです。先に紹介した各ステップを進める際に、メモを取るなどして、後で記録にまとめるのが、無理な作業に感じないようにしておきましょう。

主要機能のひとつひとつを記録する際、2つのカテゴリーをカバーする必要があります。1)コピーと文脈:使用しているコピーとトーン、ユーザージャーニーに関するあらゆる背景、各段階におけるユーザー側の考え方など、文脈を示すもの。 2)最終決定事項:もらったフィードバックと、そのフィードバックを元に決定した内容。

私たちが話を聞いた多くのチームでは、記録にはコピーのドキュメントやConfluenceのワークスペースを使用していました。ただし、これらのドキュメントは静的であるため、しっかりと更新を続ける必要があります。この場合、記録(背景やフィードバックを含む)を更新するための決まった時間を設け、内容が古くならないようにしましょう。

UXライティングが組織で定着するにつれ、UXライターが自分のコピーに責任を持つだけでなく、プロセスを合理化し、コピーを中心に据えた特定のワークフローを作り上げることが、ますます重要になってきています。プロダクト開発のプロセスにどのようにUXライティングを組み込むべきでしょうか。ぜひあなたのご意見をお聞かせください。


翻訳:Kanako Noda


執筆者プロフィール:トマー・ガッバイ(Tomer Gabbai

ソフトウェアエンジニア出身のトマー・ガッバイは、UXライティング支援ツールFrontitudeの共同創設者兼CEOです。Frontitudeは、プロジェクトに使われるコピー全体に、一貫性のある言葉遣いやボイス&トーンを持たせる作業を支援する事ができます。


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