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小さなUXの犯罪:ボタンの切り替え・遅い読み込み・コンファームシェイミング

小さなUXの犯罪:ボタンの切り替え・遅い読み込み・コンファームシェイミング

翻訳記事 Sep 15, 2021

この記事はUX Collectiveのブログ: Little UX crimes: buttons switching, loading delays, and guilt-trippingの翻訳転載です。著者のアリョーナ・キリチェンコさんの許可を得て公開しています。

ダークUXとは、ユーザーを操作して意図しないことをさせる(もちろん、より多くのクリックや売上を生み出すために!)欺瞞的な戦略のことです。ダークパターンは、すべてのユーザーがタスクをできるだけ短時間で完了したいという事実に則っています。 そのためユーザーは、インターフェースのいくつかの部分が切り替わっていることに気がつきません。

私の読者にこのようなことが起こらないことを願っています。ダークなUXのテクニックを見分ける方法を知っていれば、常に意識することができます。

自分の頭で考える方法を知っている人を操作することはできない - トリッシュ・マーサー


ダークパターンは、私のようなプロダクトデザイナーが目指しているものとは真逆のものです。ダークパターンは、デジタルプロダクトやブランドの信頼性を損ないます。ユーザーに常にフラストレーションを感じさせるため、ウェブサイトのリテンションを低下させる危険性が高いのです。前回のダイジェストでは、ダークパターンの起源と、チェックアウトや配信停止に関連するトリックの例を紹介しました。

今回は、ボタンの切り替え、遅い読み込み、コンファームシェミングに関連した、いくつかの操作的なインターフェースを見てみましょう。

例のごとく、実際のスクリーンショットを私自身で作成したワイヤーフレームに置き換えたのは、ブランドへの憎しみではなく、問題そのものに集中できるようにするためです。

プライマリボタンとセカンダリボタンの役割を切り替える


EUで一般データ保護規則(GDPR)が施行されたことにより、すべてのWebサイトは個人データを個人が管理できるようにすることが求められています。当然のことながら、ウェブサイトはできるだけ多くの個人データを利用したいと考えているので、最近ではダークパターンが使われることが多くなっています。

ユーザーが何か設定を変更した場合、通常、プライマリ(メイン)ボタンの意味は「確認」または「保存」であると考えます。一番目立つボタンなので、何も考えずにクリックしてしまうのは当然のことです。

この例では、プライマリボタンは逆に、すべての設定をデフォルトでONにしてしまいます。ユーザーのカスタム設定を保存するのではなく、あらゆる種類のデータ利用を承諾してしまうことになるのです。もちろん、ユーザーはこのような退屈なGDPRの設定(どのウェブサイトにもある!)にあまり時間をかけたくないので、急いでプライマリボタンをクリックするでしょう。

ユーザーが何かほかのことをしている最中こそが、ダークUXがうまく機能する最高の環境です。

バナーを機能的な要素の近くに配置する


これは、私がよく痛い目に遭うテクニックです。Webサイトが読み込まれ、さあ操作しようと思ったら、バナーを表示させるために、突然クリックしようとした要素がジャンプします。バナーの読み込みに時間がかかると、誰もが間違ってクリックしてしまうことがあります。

バナーが機能的な要素の近くに配置されていると、誤クリックの可能性が高まります。ユーザーはクリックしたいものが決まっているときに、例えば検索ボックスをクリックしたつもりが、バナーをクリックしてしまうことになります。

この手法の意図はわかりますが、バナーを好む人はいなくなり、クリック率は0.1%以下にまで低下しています。これでまた、バナーがインターネット上で最も評判の悪い悪役であることが証明されました。

「また後で」ボタンを遅延させて読み込む


もともとポップアップは好きではありませんでしたが、このトリックによってさらに悪質なものになってしまいました。この例では、フルスクリーンのポップアップが表示されていますが、閉じるボタンがありません。ユーザーはポップアップ画面からすぐに離れたいのにそれができません。その代わり、閉じるボタン(また後で)は遅延してロードされます。

このように、ユーザーには閉じるための他の選択肢がないため、ニュースレターを購読する可能性が高くなります。「また後で」は数秒後に表示されるため、ユーザーはすでに購読を決意していることになります。

これは、ヤコブ・ニールセンによって定義されたユーザビリティ・ヒューリスティック「ユーザーの主導権と自由」に明らかに違反しています。

ユーザーは、システムの機能を選択し間違えることがよくあるので、「非常口」を明確に示して、追加されるダイアログを経なくても、希望していなかった状態を彼らがやめることができるようにしなければならない。

レビューを書くために多くのテキストを要求する


最近、ローカルマーケットプレイスのアプリをインストールしたところ、頻繁な通知を迷惑だと感じるようになりました。なので、アプリのレビューを依頼されたとき、私の失望を伝えるのに良い機会だと思いました。しかし、レビューの文字数が最低ラインに達していなかったため、レビューを残すことができませんでした。

怒っている人は多くを語らないことが多いため、このテクニックは低評価レビューの数を減らすのに役立ちます。

コンファームシェイミング(羞恥心の植え付け)


そう、ぴったりな言葉があります。コンファームシェイミング(羞恥心の植え付け)です。

このダークパターンは、ユーザーの羞恥心を利用して、クリックしないことに罪悪感を抱かせようとするものです。そのため、閉じるボタンには一般的な「いいえ、結構です」のテキストではなく、ユーザーの注意を引くための捻りを効かせたテキストを表示します。インターネット上には、このような陰険な手法を用いたエッジの効いた事例が散見されます。

罪悪感によって得られたものは、永久に利益を得ることはできない。- キケロ


しかし、コンファームシェイミングは本当に効果があるのでしょうか?私はそうは思いません。ユーザーにネガティブな感情を抱かせてしまうので、一般的にはブランドにとって良くないやり方です。正直なところ、このような表現は「怪しい」と思われており、徐々にこのトレンドがインターネット上から消えていっているのがわかります。

ユーザーがウェブサイトを訪れるとき、彼らは快適で信頼できる体験を求めています。ダークパターンでユーザーを騙すことは、不誠実でフラストレーションの溜まる雰囲気を作るだけです。


執筆者プロフィール:アリョーナ・キリチェンコ( Aliona Kyrychenko 

アリョーナは、AIの力で組織の生産性を向上させる自動化プラットフォームDataRobotのプロダクトデザイナーです。DataRobotではモバイルアプリのビジュアルランゲージと情報アーキテクチャの設計を担当しています。ユーザーの持つニーズへの共感と、ビジネスのゴールをつなぐことを第一に考える、結果重視のプロダクトデザイナーです。
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