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実際にクリックされるボタンはどうすれば作れるのか

実際にクリックされるボタンはどうすれば作れるのか

翻訳記事 Mar 09, 2022

この記事はMediumのブログ: How to Create Buttons People Will Actually Click Onの翻訳転載です。著者のキネレット・イフラさんの許可を得て公開しています。

人々の気持ちに寄り添ったボタンのコピーを書くことは、芸術であり科学である。


Photo: Indysystem/Getty Images

ボタンの重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。あなたのサイトを訪れたユーザーが目的を達成し、その閲覧があなたの望む結果(つまりはコンバージョン)につながるためには、たいてい、ユーザーはボタンをクリックしなければなりません。つまり、ボタンは決断が行動へとつながるポイントです。では、コピーによってそのような行動を促すには、どうすればいいのでしょうか。

“続行するという行為を増幅させてはいけない。続行することの価値を増幅させるのだ” —Joanna Wiebe

これが意味するのは、“購読する”よりも“無料で案内を受け取る”の方が、コンバージョンは高くなるだろうということです。より機能的なボタンの場合、ここでいう価値とは、ボタンをクリックして得られる結果、あるいはボタンがどこにつながっているのかを具体的かつ明確に説明することです。

ただし、例えばプロダクトを購入するときや、特に長期間の購読など、他の大きな決断を必要とするときは、ユーザーが決めかねている段階や、興味はあるけれど購入に踏み切れていない段階について、もうひとつ考慮すべきことがあります。

こうした状況では、より一層、相手の気持ちに寄り添わなければなりません。そして、次のことを問うてみてください。

どんなボタンのコピーにすれば、ユーザーの決断を最小限にとどめ、なおかつ、ユーザーにその手続きを実行しているのは自分なのだと最大限に感じてもらえるでしょうか。
言い換えれば、ユーザーにボタンをクリックした瞬間に何が起こるかはっきり自覚させながら、何かを確約するときに自然と生じる抵抗感を軽減しなければならないのです。

重要なのは主導権を握っている感覚とタイミング

まだ先へ進むかどうか迷っているときに、不明瞭なボタンで、あまりに早く大きな決断を迫られると、ユーザーはそこで手続きをやめてしまう可能性があります。

逆に、ボタンのメッセージが(まだ)大きな決断を必要としないことを明確にしていれば、ユーザーは自分に主導権があると感じ、先に進む可能性が高くなります。むしろ、最後の“注文する”ボタンにのみ決断が必要で、他のボタンはユーザーを安全に最終ステップに向かわせるようなプロセスのフローを設計するのが賢明かもしれません。

ボタンのメッセージに関して、この原理を証明する興味深い研究結果があります。

“注文を確認する”

ユーザーが支払い情報と配送先の情報を入力した後に確認ページを導入する場合、ページ遷移に最も適したボタン(クリック数が多く、カゴ落ちが少ないボタン)は、“注文を確認する”です。“送信する”と“次に進む”はあまり効果的ではありませんでした。おそらく、意味の範囲が広いので、ユーザーに「もしかしてここで支払いが確定する?」と、クリックの結果、何が起こるかわからないと思わせてしまうためでしょう。

購入の過程では、ユーザーがどの段階でも常に、主導権を握っている確信を持てることが不可欠です。“注文を確認する”は、ボタンをクリックしたら何が起こるのかについて確信を与え、もしかすると好奇心まで高めるかもしれません。こうしたコピーなら、ユーザーの心も落ち着きます。「ご安心ください、まだお支払いの段階ではありません」と伝えているのです。さらにもうひとつ、透明性と確実性のための段階があります。

“プランを見る”

料金表のページへ移る際に、HighRiseでは、“無料でお試し”というボタンではなく“プランと料金を見る”というボタンを表示することで、実際の登録者数が200%増加しました。“無料でお試し”は、一見、ユーザーに価値を提供しているようで、ボタンをクリックした先がどこにつながるのか明確ではありませんでした。多くのユーザーが料金表のページに入る手前で離脱してしまったのは、ユーザーが知りたいのは詳細な情報だったのに、このボタンが心の段階を飛ばして大きな決断を要求していたためです。

“今すぐ始める”

アプリケーションのマーケティングサイトのトップページにある“今すぐ始める”ボタンは、“無料でお試し”よりも(多少)コンバージョンが達成されました。(テストした人によると)ここでもその理由は、手続きの早すぎる段階でボタンが現れたことでした。“無料でお試し”は、その先に支払いがあることを示唆しています。ですが、ユーザーはこの段階ではまだビジネスの話をする準備ができておらず、提供されるものの可能性を探ることにしか興味がないのです。

ちなみに、このビデオでは、「早すぎるのは良くない」という原理に基づいて、CTAエリア全体でテストした他のバリエーションも紹介されていて、一見の価値ありです。

・・・

どの段階でも、ユーザーの心理状態にしっかりと合わせて、ボタンを調整しましょう。また、ユーザーの決断のレベルに応じたボタンを書くことで、ユーザーが手続きにおいて完全に主導権を握れるようにすることを忘れないでください。

翻訳:Kanako Noda 


執筆者プロフィール:キネレット・イフラ(Kinnert Yifrah

イスラエルのトップクラスのマイクロコピー専門スタジオ、ネマラの代表。デジタルプロダクトのコンテンツとマイクロコピーのライティングで10年の実績を誇り、あらゆる業界、あらゆる規模の企業のためにボイス&トーンのデザインを続けている。
著書:UXライティングの教科書(翔泳社)  |  オンラインコース LinkedIn