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UXライターが「礼儀正しさ」のさじ加減を学ばねばならない理由

UXライターが「礼儀正しさ」のさじ加減を学ばねばならない理由

翻訳記事 Jun 29, 2022

この記事はMediumの記事: Why UX Writers Have to Learn to Be Less Politeの翻訳転載です。著者スコット・ウィルソンさんの許可を得て公開しています。


私が幼い頃、いつも読んでいた本のひとつに、リチャード・スカーリーの "Please and Thank You Book" があります。この本を覚えていますか?この本の内容は、「架空の町ビジータウンの動物の住人が、マナーや思いやり、気遣いについて役立つレッスンを学ぶ」というものです。私はUXライターになってから、これらのレッスンを忘れてしまわなければならなくなりました。

それは、私が悪人になろうとしているからではありません。丁寧な言葉遣いは、優れたユーザーエクスペリエンスの妨げになることがあるからです。

原則に忠実であること

UXライターは、次の3つの基本原則のレンズを通してコピーを見ています。

  • 明快であること。
  • 簡潔であること。
  • 役に立つこと。

あなたは「お願いします」「ありがとうございます」と言うことで、親切にしているつもりかもしれませんが、これらの原則のどれかに従っているでしょうか?あなたのウェブサイトで、誰かに何回アクションをお願いしているか考えてみてください。ユーザーにアクションを実行してもらうたびに「お願いします」「ありがとうございます」と付け加えるようになったら、すぐに手に負えなくなるでしょう。

注意力が散漫で、スマホでWebサイトを流し読みしているような人たちを相手にする場合は、簡潔であることが重要です。Webサイトで "ユーザー名を入力してください(please enter your username.)”ではなく、”ユーザー名(username)”と表示するのは、そのためです。ユーザーが何をすべきかを伝えるために、できる限り最小限の単語を使いましょう。

「ありがとうございました」も同様です。モバイルアプリでコーヒーを注文するとき、注文が通ったことを確認するために必要な情報は何でしょうか?おそらく、ラテの注文を受け、午前8時30分に出来上がるという短いメッセージでしょう。あなたのユーザーは、取引をしたことに対する感謝の言葉を求めているわけではありません。では、なぜそれをコピーに入れるのでしょうか?

もちろん、ユーザーに感謝の意を表したい場合もあります。例えば、ユーザーがあなたのビジネスに多額の寄付をしてくれたとします。そのような場合、感謝の言葉は歓迎されます。しかし、感謝の気持ちを伝えすぎるクセがついていると、せっかく感謝の気持ちを伝えても、そのインパクトが半減してしまいます。


良いUXライティングとは、"申し訳ございません“と決して言わないこと。

映画「ラブ・ストーリー」からの引用は、ちょっと極端かもしれませんね。しかし、「申し訳ございません」という言葉について話しましょう。社会学者のマーヤ・ジョヴァノヴィッチがこの問題について語ったTEDトークから始めてみるのがよいでしょう。彼女は、私たちが何かに対して謝ってばかりいると、臆病で自信がないように見えてしまう、と主張しています。食事に行ったときのことを考えてみてください。いつも「申し訳ございません」と謝っている給仕がいいですか?


「お待たせして申し訳ございません」

ご注文のお料理が長くて申し訳ございません

申し訳ございませんが、ティラミスを切らしました


このような体験は、そのレストランへの信頼につながりません。同じように、あなたが何度も謝るようでは、ユーザーはあなたのWebサイトに対して大きな信頼を抱くことはないでしょう。

もし「申し訳ございません」という表現を使うのであれば、非常に慎重に判断してください。その言葉は、あなたがひどい体験をさせてしまったり、あなたに落ち度があった場合に使うようにしましょう。自分ではどうしようもないことについては、謝らないようにしましょう。ユーザーはおそらくあなたのサイトを閲覧していて、「申し訳ありません」という言葉を目にしたとき、あなたが何か間違いを犯して、自分の行く道を阻んでいるのだと考えるでしょう。

UXライターとして、私たちはユーザーを前進させ、邪魔なものを取り除くことに集中しなければなりません。申し訳ございませんが、iPhoneは売り切れです」と言うのではなく、ユーザーを前進させることに焦点を当てます。次のステップは何なのか。たとえば、iPhoneを予約してもらい、在庫が復活したらすぐに手に入れられるようにするとか。ネガティブなことをポジティブに変えることができれば、そのユーザーを引き留め、コンバージョン率を向上させることができます。

メッセージに集中する

丁寧な言葉や不要な単語を削ることは、1つの結論に帰結します:私たちは、メッセージを正しく伝える必要があります。UXライターとして良い練習になるのは、あるコピーを見て、メッセージを変えずに削除できる単語がいくつあるか確認することです。あなたが伝えたいことを理解してもらうのに、どれだけの文字数が必要なのか、きっと驚くことでしょう。あなたも、お気に入りのWebサイトを見て、不要な言葉をどれだけ見つけられるか試してみてください。そうすれば、もっと良い文章が書けるようになるはずです。


執筆者プロフィール:スコット・ウィルソン(Scott Wilson

米国を拠点とする中古車小売業者CarMaxのUXライター。UXライティング、デジタルマーケティング、コピーライティング、テレビ番組制作の経験を持つ、受賞歴のあるコミュニケーションのプロフェッショナルです。

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