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エラーメッセージや通知メッセージで「申し訳ございません」を言わない理由

エラーメッセージや通知メッセージで「申し訳ございません」を言わない理由

翻訳記事 Aug 11, 2021

この記事はMediumのブログ: Why not to say “sorry” in error and info messagesの翻訳転載です。著者のリヴァ・パウデレさんの許可を得て公開しています。


honestbeeに入社して最初にしなければならなかったことは、いくつかのエラーメッセージを確認することでした。私のキャリアのバックグラウンドはコンテンツマーケティングですが、一般的なユーザーである私は、エラーの内容を気にしたことがありませんでした。「申し訳ございません」という言葉を目にするたびに、私は上の空になりました。


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この課題に直面した私は、メッセージに一貫性を持たせ、心地よく、そしてすべてのメッセージが「申し訳ございません」で始まるように、最善を尽くしました。エラーメッセージだけではなく、あらゆる種類のコンテンツを対象としました。

これには2つの理由があると思います。

    1. 多くのプロダクトがやっているので、それが当たり前だと思ったから
    2. ユーザーに優しくして、共感を示したいと思ったから

1つ目ついては、他の人たちがやっているからといって、それが正当な理由にはなりません。

「海軍に入るくらいなら、海賊になったほうがいい」- スティーブ・ジョブズ


2つ目はもっと複雑な問題です。honestbeeでは、デザインチームの全員がユーザーリサーチやカスタマーサービスを経験することになっています。私はそれが大好きです。そのおかげで、私はより顧客に共感できるようになり、自分とは全く異なる視点から物事を見れるようになりました。

私は、「申し訳ございません」と言うことで、コンテンツをより人間味あふれるものにし、ユーザーが怒るのを防いでいるのだと思っていました。

ある日のデザインレビューで、上司から「なぜ 『申し訳ございません』という言葉を使うのか」と聞かれました。私のシンプルな答えは、「使わないことを考えたことがなかった」というものでした。このやりとりで、私は考えさせられました。顧客に謝罪することで、それが一体どんな価値をもたらしていたのでしょう?

下のメッセージを見てください。ユーザーのクレジットカードの有効期限が切れています。これは別に大したことではなく、誰にでも起こりうることです。なんでもない状況を悪い状況に変えているように見えます。なぜ私は、ユーザーに嫌な思いをさせているのでしょうか?



私が思う最悪の「残念なユースケース」は、コンテンツデザイナーがプロダクトやサービスの機能について謝罪することだと思います。もしユーザーを、謝罪するしかないような状況、つまりプラス面のないひどい状況に追い込んでいるのであれば、プロダクトやサービス全体を見直してみましょう。必要であれば、オペレーション、ビジネス、デザイナー、そしてCEOに相談してください。ただ謝るだけでは解決しません。

ユーザーに課せられた制限を悪いことと見なすのは簡単です。例えば、ユーザーが複数のレストランの注文をカートに入れようとするたびに「申し訳ございません」と言ってしまうようなものです。

しかし、私たちはこのようなやり方をしません。確かに制限はありますが、私たちはお客様のために最善を尽くしたいと心から思っています。この「制限」により、全体的なサービス体験が向上すると考えています。もちろん、通知メッセージは、私たちのビジネス上の決定を長々と説明する場ではありませんが、全体として、もっとポジティブになれるはずです。


もし私たちが、自分たちの決めたことについて謝り続けていたら、最終的にはユーザーに「このアプリはあまり良いものじゃないな」と思わせてしまうでしょう。元々ユーザーがそう思っていなかったとしてもです。

制限が問題ないもう一つの理由は、私たちのビジネスが、地球上のすべての人を対象にしているわけではないという点からです。すべてのビジネスにおいて、私たちは特定の "バイヤーペルソナ "に向けてプロダクトを作っています。私たちは、理想的な顧客に向けてプロダクトをより良くするために「制限」を使います。

もちろん、「絶対に謝ってはいけない」という意味ではありません。私はカスタマーサービスのトレーニングで、物事が本当にうまくいかないときは、美しく書かれたテンプレートの回答では、人間の心からの謝罪に勝てないことを学びました。

しかし、通知やエラーメッセージは、あらゆる状況に対応するものではありません。私は、これらのメッセージは、多くの人に消費される教育コンテンツだと考えています。間違いを犯すことは避けられませんが、それがひどく頻繁に起こるようなレベルのものであってはならないと思います。

仮にミスが起こった場合の解決策は、お詫びのエラーメッセージを大量に作ることではなく、ビジネスそのものを改善することです。


執筆者プロフィール:リヴァ・パウデレ(Liva Paudere 

リヴァ・パウデレはシンガポール在住のUXライターです。honestbee(オネストビー)のUXライティングチームのリーダーとして、ウェブサイトやモバイルアプリのコンテンツを作成し、8都市のローカライズを統括しました。
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