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コンテンツデザインとは何か?

コンテンツデザインとは何か?

翻訳記事 Oct 27, 2021

この記事はContent Design Londonのブログ: What is content design?の翻訳転載です。著者のサラ・ウィンタースさんの許可を得て公開しています。

コンテンツデザインとは、消費者であるユーザーのニーズに最適な方法で応えることです

私は著書『Content Design』の中でこう述べています。

「コンテンツデザインとは、考え方のひとつです」

「オーディエンス(コンテンツの読み手)が必要とするものを、必要な時に、期待する方法で提供するために、データや証拠を利用すること」

これらを分解してみましょう。

  1. データと証拠
  2. オーディエンスが必要とするものを
  3. オーディエンスが必要とする時に
  4. オーディエンスが期待する方法で

データと証拠:コンテンツデザインのプロセス

コンテンツデザインのプロセスは次の通りです。

  1. リサーチ
  2. ユーザーニーズの把握
  3. チャネルとジャーニーのマップの作成
  4. 言葉と感情
  5. クリエーション
  6. シェア
  7. 反復

1. リサーチ

他の多くのライティングとコンテンツデザインの大きな違いは、コンテンツデザイナーは一般的にリサーチなしでは動けないということです。

机上の調査でも、ユーザビリティ調査でも、専門家による調査でも、どんな種類の調査でもいいのですが、読み手が何を求めているか、何を必要としているかというデータと証拠が必要です。

2. オーディエンスのニーズ:ユーザーストーリーとジョブストーリー

次に、オーディエンスが私たちに何を求めているかを、ユーザーストーリーやジョブストーリー日本語の参考記事)で定義します。これは、リサーチから得られたものを具現化するための形式的な手法です。

私たちは、ユーザーが何を求めているのか、ユーザーが抱えている課題を解決するために、組織として何ができるのかを考えます。

私たちはトラフィックを追い求めません。トラフィック単体では上辺の指標に過ぎません。私たちは品質を追求します。Googleもそうであるように、あなたのユニークで素晴らしいコンテンツが検索上位にランクインするのです。

 私たちは、オーディエンスとの交流をより少なく、しかしより価値あるものにし、より実を結ぶものにしたいと考えています。どんな組織も、すべての人の望みを叶えることはできません。全てにおいて中途半端になるのではなく、得意なことをやり切る方がずっといいのです。

ユーザーのニーズを十分にリサーチした上でコンテンツを作成すると、ユーザーがその時点で抱えている特定の課題に、自然と答えが出てきます。このようなコンテンツは、ユーザーが次のステージに進み、最終的に目的を達成するのに役立ちます。


オーディエンスが必要とする時に:ジャーニーマッピング


リサーチのもう一つの成果は、ユーザージャーニーをより深く理解できるようになることです。

これは、オフラインでもオンラインでも、ユーザーがあるタスクを完了するために必要なすべてのステップを意味します。ユーザーが最終的に手に入れるのは物理的なものであったり、単なる情報であったりします。

ユーザージャーニーは、次の3つの重要ポイントを理解するのに役立ちます。

  • ユーザーがコンテンツにたどり着いたときのモチベーション
  • ユーザーが結果を得るためにどれだけの労力を必要とするか、そしてその過程でどれだけの情報を得られるか。
  • ユーザーがどの時点でどのような情報を必要としているのか。


オーディエンスが必要とする時に:一貫したメッセージング


このようなジャーニーを歩む間、人々は多くの情報を無意識に取り込んでいます。すべてのチャネルで一貫したメッセージを発信することで、オーディエンスは情報を理解し、それに基づいて行動できるようになります。例えば、ツイートからコンテンツページ、そしてサービスに至るまで、コミュニケーションのすべての部分を貫く明確な筋道をたどることができるのです。

このようなメッセージを作成するには、コンテンツがマーケティング、広報、PRなど、読者とのコミュニケーションに関わる組織内のあらゆる部署と連携した混合チームが最適です。

3.オーディエンスが必要とする時に:チャネルとジャーニーマッピング

次に、ジャーニーの特定のポイントでメッセージを伝えるには、どのチャネルを通じて発信するのが適切かを考えます。

ここではデジタルだけを考えてはいけません。チャネルには次のようなものがあります。

  • ウェブサイト
  • ソーシャルメディア
  • あらゆる種類の広告
  • イベント

コンテンツデザイナーは、これらすべてのポイントに関与したり、責任を負うことはありませんが、何が起こっているのかを知る必要があります。そうすることで、優先順位や言葉、作業の流れが見えてきます。リフレクションジャーニー(既存のメンタルモデルを反映させるジャーニー)なのか、ディスラプションジャーニー(モデルが間違っているためにそれが中断するジャーニー)なのかを決めることができます。

私たちは、情報の提供が早すぎたり、間違った場所で提供されたりすると、人々が不満を感じてサービスを離れたり、私たちを信用しなくなったりすることを知っています。オーディエンスが何を必要としているか、そして、いつ必要としているかを理解することが、成否を分けるのです。
 

4. オーディエンスが期待する方法で:言葉と感情

私たちは、ユーザーが使う言葉を使います。そうしなければ、ユーザーは私たちを見つけられず、私たちとつながり、私たちを信頼することができないからです。

私たちは、検索エンジンのために言葉を使うのではなく、検索エンジンの背後にいる人々のために言葉を使います。私たちは、人々を無駄なページに引き込んだり、操作したりしません。私たちは人々を助けます。プロダクト全体で使用する言葉は、ユーザーの語彙を反映したものでなければなりません。そうしないと、インタラクションが難しすぎて、放棄されてしまうかもしれません。

感情はその下にある層です。私たちは、このようなリサーチを次のような方法で行っています。

  • トーンを伝える(スタイルではありません。コンテンツデザインロンドンのスタイルガイドは「読みやすさのガイドライン」です。
  • オーディエンスと実際につながる
  • オーディエンスのジャーニーをサポートする

私たちは、シンプルなエンパシーマップの4つの項目に沿って、次のようなことを行っています。

  • 見る - オーディエンスは何を見ているのか(どこを見ているのか)?
  • 聞く - オーディエンスは何を、誰から聞いているのか?どのチャネルか?
  • 感じる - オーディエンスはどのように感じているのか?
  • 行動 - オーディエンスは何をするのか?どんな決断をしなければならないと感じているのか?

これらの作業を終えると、全体像が見えてきます。オーディエンスが意思決定をするために、ジャーニーの各ステップでどのようなコンテンツを必要としているのか、各ポイントでどのような言葉や感情を使うのかがわかります。

つまり、ユーザーがプロダクトやサービスを利用する際に、良い体験ができるようなコンテンツを作れるようになるのです。

5. クリエーション

コンテンツデザイナーは孤立して仕事をするわけではありません(というよりは、そうすべきではないのですが、時に現実は厳しいものです)。

コンテンツデザインは、ただ書くだけではありません。

コンテンツデザインとは、オーディエンスのニーズを満たすために、他のチームと協力して最適な解決策を見つけることです。

つまり、コンテンツデザイナーは、リサーチ、デザイン、UX、エンジニア、サービスデザイン、プロダクトオーナーと協力して、コンテンツページ、ツール、計算機、ポスターなど、最適なソリューションを考えるのです。

ここでの基本原則は、ユーザーのニーズが最初にあり、次にフォーマットがあるということです。問題を理解してから、解決策を編み出す、とも言えます。

6.共有

私たちは、フィードバックを得るために、素早く簡単に共有します。自分たちの仕事に新たな視点が加わることは、一般的に良いことだと考えています。

私たちは、紙やグーグルドキュメントを使っているので、膨大な作業をすることはありません。素早く改善や変更を行います。

私たちは、リサーチ、査読、批評など、さまざまな手法を用いています。

7. 反復

リサーチやテスト、データを見ても、そこから学び、応用し、次へ進まなければ意味がありません。だからこそ、繰り返し行うのです。私たちのコンテンツ戦略では、必ずレビューと削除の期日を設けています。コンテンツは、ただ続くだけのものではありません。私たちのコンテンツには愛が必要です。

コンテンツデザインは、あらゆるコミュニケーションスタイルに対応する


プロダクト、サービス、ウェブサイト、ソーシャルメディア、マーケティングなど、すべてがコミュニケーションであり、そのすべてにコンテンツデザインの手法が使えます。

ここでは、コンテンツデザインにまつわる神話を紹介します。

コンテンツデザインはマーケティングやクリエイティブな仕事には向かない


そうではありません。コンテンツデザインは、ユーザー中心のアプローチで問題を解決するものです。私は元コピーライターです。今知っているすべてを知っていたら、もっと楽になっていたでしょう。

コンテンツ・デザインは、すべてを彩りのないつまらないものにしてしまうわけではありません。コンテンツに焦点を当て、明確な構造を与えます。つまり、オーディエンスとのつながり方を知っているということです。それはクリエイティブなことであり、マーケティングにも活用できます。

RuthGilbeyは、マーケターのためのコンテンツデザインについてブログを書いています。


コンテンツデザイナーは、UX/UIデザイナーをイラつかせている


コンテンツデザインとユーザーエクスペリエンスは、どちらも「オーディエンスに優れたユーザーエクスペリエンスを提供する」という同じ目標に向かっています。確かに、この2つの分野が重なることもあります。しかし、最高のプロダクトは、人々が協力して最善の解決策を見つけようとするところから生まれます。

文化的には、コンテンツは誰もが持っているスキルだと思われているので、これは妥当ではありません。しかし、コンテンツデザイナーと仕事をすると、その考えはすぐに変わります。私は、コンテンツデザイナーが、その巧みな手法でサービスを成功させたり失敗させたりすることについて、たくさんのエピソードを知っています。それについては次に出す本で紹介します。Public Digital社の無料書籍「Signals」では、たった一言が数百万ポンドのサービスを止めてしまった例を紹介しています。

コンテンツデザインはデジタルのためのもの


これには多くの間違いがあります。私たちは問題を捉えるとき、全体的な視点で考えます。ユーザーはどこで何を判断しているのか?どのような情報を持っているのか?どのような言葉を使っているのか?どのようなチャネルを使っているのか?優れたコンテンツデザイナーは、こうした一連の流れを理解し、適切なコンテンツを適切なタイミングで提供します。それは必ずしもデジタルではないかもしれません。

例:ある医療機関では、アプリに何百万円もかけようとしていました。彼らが実際に必要としていたのは、医師のオフィスに貼るポスターでした。コンテンツはコンテンツです。デジタルである必要はありません。ただ、ユーザーのニーズを満たすものであればいいのです。

コンテンツデザインとは、オーディエンスにサービスを提供することです。


執筆者プロフィール:サラ・ウィンタース( Sarah Winters 

サラ・ウィンタースは、Content Design London(CDL)のCEO兼創設者です。広告分野のコピーライターを経て、2013年にコンテンツデザイナーとして英国政府のウェブサイトGOV.UKを担当しました。著書に『Content Desigin』。

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