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巨大テック企業のレイオフ:コンテンツデザイナーのためのサバイバルガイド

巨大テック企業のレイオフ:コンテンツデザイナーのためのサバイバルガイド

翻訳記事 Nov 07, 2022

この記事はパトリック・スタッフォード氏のブログ記事: Big tech layoffs: A survival guide for content designersの翻訳転載です。著作元のUX Content Collectiveの許可を得て公開しています。

私が大学を卒業した2008年は、世界経済全体が崩壊したのとほぼ同時期でした。当時のミレニアル世代の多くが知っているように、高収入の仕事はおろか、就職するのも一苦労でした。私は、成長分野(デジタル・ジャーナリズム)に自分のキャリアを結びつけて何とか生き延びましたが、簡単なことではありませんでした。

現在の経済不況は、2008年ほどではありませんが、90年代のドットコム不況に近いと思われます。Shopifyのような企業で今年初めに見られたレイオフは、今もなお続いています。

さて、率直に言って、ここでの影響の多くは、開発者、プロダクトマネージャー(PM)、エンジニア、その他の技術職が受けることになるでしょう。しかし、レイオフを経験した人なら誰でも知っているように、レイオフは社内のあらゆるレベルの監視の目が厳しくなることを示す遅行指標に過ぎないのです。つまり、UXライターとコンテンツデザイナーは、あることに気づく必要があります。

あなたの仕事が危ないかもしれない

ソーシャルメディア上の誇張された表現は、私たちが常に恐怖と混乱の中にいると思わせるでしょうが、世界経済(特にテクノロジー周辺)は過去10年間、信じられないほど好調でした。入社し、トレーニングを受け、優秀な人材になることは、かつてないほど簡単なことだったのです。しかし、この状況はもはや持続可能ではなく、私たちは今、変化を目の当たりにしています。

UXライターやコンテンツデザイナーとして、これは、景気後退という漠然とした脅威よりも、もっと具体的な懸念があることを意味します。言い換えれば、あなたの経済的な生存と未来は、具体的な価値を示す能力にかかっているのです。

それはまた、より多くのことを要求されるということでもあります。そして、ここで重要なのは、誰もあなたにこれをやれとは言わないということです。この変化を予測し、理解し、対処し、自分の価値を高めるために行動計画を立てるのは、あなた自身なのです。

では、どうすればいいのでしょうか?その答えをすべて示すことはできませんが、役立つかもしれないいくつかのポイントをご紹介します。

技能とは別の価値をにじませなければならない

マネージャーや他の人から解雇リストに名前を載せられないようにできる限りのことをしなければなりません。通常、このような記事は漠然とした内容で、平凡になりがちですが、ここでは具体的な内容を紹介します。

  • 自分のチームから始める。オープンで親身であること。質問をしたり、締め切りを守ったり、チームのみんなを楽にしてあげましょう。面白い知見が詰まった記事をシェアする。振り返りやワークショップの開催を申し出て、他の人のプレッシャーを和らげ、うまくリードする。ミーティングを成果へ結びつける存在になる。常に次のアクションは何かと尋ね、なければ提案する人になる。
  • 気持ちよく接すること。これは、押し付けがましくなることとは違います。率直であり、正直でありながら、議論の方向をコントロールできるような人物になることです。レイオフの時期には、ものごとが白熱しがち?そんなときは、「少し話を戻して、問題に集中しよう」と言える人になりましょう。
  • あらゆるものに戦略的なレイヤーを見いだす。あなたのプロジェクトは、他のチームがやっていることと重なっていないでしょうか?それを持ち出し、「あのPMを今すぐミーティングに参加させて、この問題を素早く解決しよう」と提案する人になりましょう。問題をすぐに解決する人物として知られたほうが良いのです。
  • リサーチセッションに参加し、自分のチームとは関係のない情報を吸収する。そして、その情報を提供してくれた人たちに感謝すること。データアナリストから毎日、役立つであろうダッシュボードを受け取っていますか?その人たちに感謝の気持ちを伝え、そのメールをチーム全員に転送して、「これはXからの素晴らしい情報で、我々と関係があると思うので紹介します」と言いましょう。他のビジネス部門からの情報を見逃すほど(組織/チームを)サイロ化してはいけません。その情報を受け止め、PMとチームには、それがどのような価値を持つものであるかを教えてあげてください。PMには、あなたが他のビジネス領域の動向を把握していること、チーム全体の成功に集中していること知ってもらったほうが良いのです。

この点については、すべてあなたの心身の健康状態や都合に左右されるものであることを補足しておきます。必要に応じて調整してください。

Be good. Be really, really good.

誰もが知っている当たり前のこと。それは締め切りを守ること。良い文章を書くこと。文章がしっかりしていること、自分が取り組んでいるプロダクトを徹底的に理解していること(意外と知られていないことですが)。しかし、以下のようなことも大切にすべきです。

  • プロセスを見せることに手を抜かない。私がコーチングの現場で目にする最大の間違いは、UXライターが「ビフォー」「アフター」の写真を見せるものの、肝心の「プロセス」を示さないことです。プロセス!チーム、PM、誰に対しても、プレゼンするときは、そこに至るまでのプロセスを示しましょう。
  • 問題ではなく、解決策を持ちこむ。問題を事前に予測し、トレードオフについて議論し、現実的な解決策を示しましょう。あなたのゴールはPMとチームの問題を解決することなので、それに集中すること。みんなの足を引っ張らないように。
  • スケールの大きい仕事をする。Wixのチームが最近行ったように、エラーメッセージのパターン集を作れますか?コンポーネントを管理するために、Dittoのようなプラグインを使ってFigmaでより効率的に作業できますか?基本的な文字列のリポジトリを作成し、あなたがいないときに開発者が使えるようにできますか?あなたが爆発的な速さで価値とアウトプットを提供できることを実証してください。

そうすると、別のことが見えてきます。

数字でインパクトを示す

これについては、ヤエル・ベン・デイヴィッドの近刊「The Business of UX Writing」をチェックすることをお勧めしますが、とりあえずこう考えてみてください。もし、あなたの業績に数字が含まれていないなら、何か間違いを犯しています。

あなたの業績は、あなたのOKRと一致する必要があり、それは組織のOKRと一致する必要があります。プロジェクトや業績の一つひとつを、より大きな目標に結びつける必要があるのです。

例えば、あなたが保険会社に勤めていて、組織の目標の1つが市場シェアの拡大だとします。OKRの測定方法の1つは、おそらく顧客維持率でしょう。さて、アプリ内のアクティビティに関連するプッシュ通知のデザインを変更するプロジェクトに取り組んでいるとします。UXライターやコンテンツデザイナーの多くは、次のように実績を書きがちです。

  • 問題:プッシュ通知を作成して、ユーザーの活動を促進させたい。 
  • 解決策:プッシュ通知をより興味を引くものに作り直した。
  • 結果:より多くのユーザーがプッシュ通知をタップし、アプリを利用するようになった。

…大丈夫?オーケー。もっと悪いのは、戦略的価値を理解していないコンテンツデザイナーやUXライターの例です。「問題」と「解決策」を混同してはいけません。もっと広い視野で考えましょう。このようなときこそ、戦略的な思考力が求められます。あなたの「問題」は、あなたが考えるよりずっと大きなものであり、あなたの個人的なプロジェクトではなく、あなたの組織に関するものなのです。これを書き換えてみましょう。

  • 問題:定性的調査によると、ユーザーは私たちのアプリを毎日使うことに意義を感じていない(関連OKR:市場シェア)。<情報源へのリンクを貼る>
  • 解決策:ユーザーに日々のタスクに取り組むよう促す 

この解決策は非常に漠然としているため、ある一つの解決策に囚われることがありません(ですが、これはダブルダイヤモンドについての記事ではないので、先に進みましょう)。プッシュ通知は、あなたにとっての解決策です。成果は長期的に得られるものであるので、そのためにはさまざまな共同作業に頼らなければならないかもしれません。データアナリストにお願いすることもあるでしょう(誰も読まないダッシュボードについてお礼を言えば、情報提供にもう少し積極的になってくれるかもしれません)。

ユーザーの問題と組織の問題には、常に関連があることを心に留めておいてください。その部分を強調するのです。可能であれば、組織的な問題にどのように対処したかを示してください。

つまり、あなたの「結果」は次のような形になります。

結果:プッシュ通知を受け取ってアプリを開いたユーザーの解約率は30%減少し、2つ目の保険商品に加入する確率が高くなった(計上された契約更新の生涯価値:17万ドル)。

私から使える数字の一覧を示すことはできませんが、広く考えてみてください。自分の価値を以下のような形で表せないでしょうか:

  • 時間の節約?
  • お金の節約?
  • サポートへの問い合わせが減少した?
  • 毎日のアクティビティが増加した?

あなたが測定するすべての指標は、何らかの形で金銭的価値に置き換えられることを覚えておいてください。時間を節約しているのであれば、お金も節約していることになります。

求人に応募するとき、昇進を願い出るときなど、職務経歴書の箇条書きをすべてチェックすることです。ひとつひとつの項目に対して、数字で表せるかどうか確認しましょう。

その他、気をつけなければならないことがあります。

スキルを磨く…ただし、スペシャリストの枠に収まらないこと

講座を販売するビジネスを手伝っている私が言うのもなんですが、レベルアップすることの方が重要です。これはお金を使えということではありません。読書をし、知識を深め、ウェビナーを視聴し、アクセシビリティや用語集の管理などの深いトピックを理解することです(これも、飛躍的な価値を提供するためです)。しかし、もっと重要なのは、学習のために「学習」するのではないということです。ターゲットを絞って学習し、日々の仕事に何を応用できるかを把握することです。

「競争」という言葉は使いたくないのですが、皆さんは仕事のために他の人と競争しているのです。スキルや実績の欄は、多ければ多いほど良いでしょう。

あなたはスタートアップでより多くの成功を掴めるかもしれない

信じられないかもしれませんが、ここ数年、大手のハイテク企業に就職するのは実は簡単になってきています。門戸は開かれており、1人目、2人目のコンテンツデザイナーとしてスタートアップ企業に就職した方が、将来的に成功する可能性があります。もちろん、業績を上げて価値を示すことへのプレッシャーは大きくなるので、その仕事ができるかどうか、慎重に検討してください。ですが、私は以前よりも真剣にスタートアップでの仕事を考えています。

過去数年間は、新規参入者にとって簡単だったが、これからはそうはいかない

UXライティングやコンテンツデザインに、他のキャリアから参入する人が相次いでいます。素晴らしいことです。しかし、テクノロジーは成熟し、ソーシャルメディアは変化し、私たちの業界はこれまで以上に価値を証明することを期待されています。ウィンストン・チャーチルが言ったように、これは終わりの始まりではなく、始まりの終わりであり、これからもっと多くのことが起こるのです。備えましょう。


執筆者プロフィール:パトリック・スタッフォード(Patrick Stafford

パトリック・スタッフォードはUX Content CollectiveのCOOです。UXライティングとコンテンツ戦略に関するオンラインコースを提供しています。また、世界中のUXライターやコンテンツストラテジストのインタビューを集めたポッドキャスト「Writers of Silicon Valley」を主催しています。

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