
Trelloを使ったユーザーリサーチ
Jul 13, 2022この記事はMediumの記事: Using Trello for user researchの翻訳転載です。著者クレア・ウェルチさんの許可を得て公開しています。
定性データの分析は、机にポストイットが散乱しているものから、カラフルなMiroのボードまで、様々な形式で行われます。しかし、一つだけ変わらないのは、より広範囲のチームや主要なステイクホルダーと、インサイト(洞察や発見)を共有する必要があることです。
私はSopra Steria Designチームのユーザーリサーチャーですが、最近のプロジェクトでは、何か違うことを試してみようと思いました。
試しにTrelloを使ってみることにしたのです。
この記事では、私が経験したプロセス、うまくいったこと、うまくいかなかったこと、そしてそのプロセス全体で学んだいくつかの秘訣について説明します。
まず、なぜTrelloなのでしょうか?
複数の分野にまたがるチームと仕事をする上で、全員が常にユーザーリサーチの輪の中に入っていることが重要でした。リサーチプロジェクトの一環として、私はサービスデザイナーと一緒に20人のユーザーにインタビューを行いました。その際、できるだけ早い段階でチームメンバーにリサーチ内容を伝え、活用してもらうことを心がけました。
そのため、チーム全員が使えるツールを選ぶことが重要でした。異なるデバイス間でのアクセス権限は、コラボレーションを行う際に問題となることがありますが、Trelloなら誰でも利用することができます。また、チームのニーズにも合致していました。また、無料のツールであることも助かりました。
今回は、Microsoft Wordでメモを作成しました。
Trelloのボードにアイデアを取り込む前に、メモがきちんと匿名化されているか、インタビュー参加者にコードネームが与えられているかを確認する必要があります。参加者のプライバシーを守るため、名前や場所などの特定できる情報は削除することが大切です。
ユーザーリサーチのメモをTrelloに取り込む
インタビューでは、会話の内容を文字に書き起こすのが一般的です。Trelloを使用してリサーチ結果を整理する場合、メモ係にそれぞれのアイデアごとにスペースを空けてもらうと、ボードを整理する際の時間を大幅に短縮できます。
そうすると、メモをコピーするときに、新しい列ごとに新しいカードが作成されます。こうすることで、アイデアをテーマごとに分類することが簡単になります。
メモをTrelloボードにコピーします。ただし、一人分ずつコピーしてください。こうすることで、一度で、ユーザーIDの下にメモの内容を表示することができ、タスクを簡単に管理することができます。
メモをコピーし、ユーザーIDのラベルを付けたら、いよいよ楽しい時間です。テーマ探しの時間です。リスト(縦列のひとまとまり)に、似たようなアイデアを並べてドラッグし、編集、削除、追加することができます。
そして、似たようなアイデアをリストの下にまとめたら、カードにラベルを付けます。
ラベルの編集
ラベルの編集機能があるおかげで、いつでも作業に立ち戻って変更することができます。
この時点ではラベルにどんな言葉を入れるかまったくわからなくても心配は要りません。ラベルの編集は、数ステップで行えます。ラベルを編集すると、そのラベルがついたすべてのカードが一気に更新されるのです。
この作業が終わるころには、すべてのカードにユーザーIDとラベルが貼られていることでしょう。Trelloのもう一つの利点は、同じカードに複数のラベルをつけることができ、重複して情報を入力する手間が省けることです。
テーマに応じたグループ分け
1枚のカードに複数のカードをくっつけることができます。これにより、似たようなテーマやアイデアを持つカードをグループ化することができます。次のような方法があります。
- カードにカーソルを置いた状態でCTRL+Cを押してコピーする。新しいカードを開いたらCTRL+Vで添付ファイルとして貼り付けて、アイデアをグループ化する。
キーボードは使えないが、マウスは使えるという方のために、別の方法をご紹介します。
- コピーしたいカードを決めてください。
- 追加したいカードを開きます。
- [添付ファイル]、[Trello]の順に選択します。
- このリストに追加したいカードが表示されるはずです。
このようにアイデアをグループ化することで、特にユーザーニーズを掘り下げたり、裏付けとなる証拠や引用を探したりする際に、レポート作成が少し楽になります。
Trelloをユーザーリサーチのツールとして機能させるポイント
Trelloをユーザー調査に使う利点はいくつかあります。
- フィルターオプションが素晴らしい。個々の単語を検索したり、作成したラベルでフィルタリングすることができる。
- Trelloを使えば、様々な分野のチームが協力してユーザーリサーチを行うことができ、チーム全体がテーマにざっと目を通すこともできる。
- ユーザーリサーチやインタビューに参加していないメンバーも、自分が探している、あるいは見逃しているアイデアを、ざっと見ることができる。
- ラベルを素早く編集できる。
- チームメンバーはカードにコメントしたり、ラベルを追加したりすることができる。どちらもフィードバックを得たり、アイデアを整理したりするのに最適である。
- さらに、Trelloはラベルの下に「色覚バリアフリーモード」があり、ExcelやMiroのようなツールよりもアクセスしやすくなっています。
あまりうまくいかなかった点
しかし、Trelloを使う上で、以下のような注意すべき欠点もあります。
- リストが長くなることがある。Trelloは、少人数のインタビューを分析する際に最適である。
- 人によって仕事のやり方は様々で、乱雑になりすぎたり、整理されすぎたりすることもある。自分のチームに合ったツールを選びましょう。
- Trelloの無料版を使用している場合、カードをCSVとしてエクスポートすることができない。
- Trelloは誰でも使えるというわけではない。常にチームのニーズを優先してください。
キーポイント
これだけ多くのデジタルツールがあれば、ユーザーリサーチの整理、分類の方法は無限にあります。私が学んだことは、以下の通りです。
- デバイスを問わずアクセスできるツールを使用する。
- どのツールが一番使いやすいか、チームメンバーで話し合うこと。全員がそのソフトウェアに慣れ親しんでいるでしょうか?
- コラボレーションを促すツールを使う。
今後のプロジェクトで、私が Trello の使用を検討することは確かです。
Trelloがデザインチームやユーザーリサーチチームによって過去にどのように使われたかを見るには、こちらをご覧ください。
- User Research in Government: How a Kanban board can help your user research
- Product Lab’s: Everything you need to plan and share user research with Trello
あなたがどのようにリサーチを整理しているか、ぜひ教えてくださいね。