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コーヒー1杯分の値段で、あなたのコピーをテストする

コーヒー1杯分の値段で、あなたのコピーをテストする

翻訳記事 Nov 03, 2021

この記事はMediumのブログ: Testing your copy for the price of a coffeeの翻訳転載です。著者のタンジャ・マティックさんの許可を得て公開しています。

4つのヒントと1つの警告

コピーのA/Bテストは素晴らしいものです。しかし、現実的に考えてみましょう。すべてのUXライターが高価なユーザーテストツールを利用できるわけではありません。でも、がっかりしないでください。コピーをテストする方法は他にもあり、しかもコーヒー1杯分の値段でできます。


ユーザーテストは、コーヒー1杯分の価格でできる… (photo by Matt Hoffman)

1. カフェテスト

これは迅速なフィードバックが得られる、私のお気に入りの方法のひとつです。とても簡単で、目からウロコです。自分のコピーが意味をなしているかどうか、即座に確認できます。プロダクトのプロトタイプもしくはコピーを書いた紙が必要です。

最も重要なことは、テストしたい1つのことに焦点を当てて議論することです。インタビューのスクリプト(質問表)は、物事をスムーズに進めるのに役立ちます。相手の時間は最大でも15分しかないことを忘れないでください。

このようなテストは、他の人と一緒に行うようにしましょう。そうすれば、一人がメモを取り、もう一人が質問できます。また、ボイスレコーダーを使えば、コピーについての会話を楽に続けられます。ただし、インタビュー相手の許可を得てからにしてください。

私たちは通常、近所のカフェに行って、コーヒーを買うために列に並んでいる人たちに声をかけます。自己紹介をして、10〜15分の時間を求め、コーヒーの代金を支払うことを申し出ます。意外と多くの人が協力してくれて、あなたの作品についてどう思うかを教えてくれるでしょう。


ビジネスとレジャーの融合 - カフェでUXリサーチを行う (photo by Helena Lopes)


見知らぬ人に声をかけるのは少し気が引けるものですが、親しみを持って会話に臨むためのヒントを私たちのリサーチャーが教えてくれました。

オープン形式の質問をすること:オープン形式の質問をすると、深く掘り下げた答えが得られ、新たな会話のきっかけとなります。例えば「これを使いたいですか?」ではなく、「これについてどう思いますか?」のように。

専門用語を避ける:平易な言葉を使うことで、誰もが同じ土俵に立てます。インタビューを受ける人々はあなたを理解していると感じるでしょうし、間違った答えを言っているのではないかと心配することもありません(ちなみに「間違った答えはない」と言って安心させてあげてください。彼らが何を言っても、あなたのコピーを向上させるために大いに役立つからです)。

結論ありきで質問しない:結論ありきで質問すると、相手の反応に影響を与えてしまい、せっかくの結果が台無しになってしまいます。ですから、「この機能はいかがですか?」ではなく、「ここに書いてあることをどう思いますか?」と質問しましょう。

相手には自分の意見を言ってもらい、プロトタイプの使い方を手助けすることは避けましょう。誘惑に駆られるかもしれませんが、決して彼らの言葉を終わらせてはいけません。その代わり、沈黙に頼りましょう。

インタビュー相手が話し終えた後に間を置くのは、とても有効なテクニックです。私たちは自然と話し続けようとする傾向があります。この時はリラックスしているので、よりじっくり考えられた答えが返ってきます。もし、相手が正しい答えは何かとを尋ねてきたら、その質問を相手に返すようにしましょう。

「ここをクリックした後、何が起こると思いますか、あるいは何を期待しますか?」このように対応することで、商品やコピーの説明で相手を誘導することなく、同時に相手の答えを引き出すことができます。もし彼らが、次に何をすればいいのかわからないようであれば、それはユーザーが将来製品を使うときに困ることの重要なヒントになります。

 

2. オンライングループのフィードバック

世界はUXの村 - オンラインコミュニティで質問し、学び、共有しましょう(photo by rawpixel.com)。


オンラインのUXライティングコミュニティに参加しましょう。そこでは、UXの魔法使いたちがお互いの作品にコメントしています。これらのグループでは、恥ずかしがらずにフィードバックを求めましょう。Facebookの「Microcopy & UX Writing日本版)」やLinkedinのContent StrategyやUX Writingなどのコミュニティに参加するといいでしょう。

他のUXライターから技術的なフィードバックを得ることは、非常に価値のあることです。なぜなら、彼らはうまくいった(あるいはうまくいかなかった)コピーの例を教えてくれるからです。これは、A/Bテストやカフェでのインタビューのような厳密なユーザーテストではありませんが、専門の職能を持つ仲間からフィードバックをもらうことで、コピーを新しい方向に導くことができますし、後で試すためのアイデアを生み出すことができます。

この方法を使えば、詳しい人たちから非常に素晴らしいフィードバックが得られます。それに、コーヒー代も節約できますしね。

3. 異なる部門の同僚たち

知らない人に話しかけるのが苦手なら同僚にコーヒーをごちそうするのもいいでしょう。例えば、財務部のジェニーや人事部のミゲルなどです。彼らは毎日UXの仕事をしているわけではありませんし、あなたの製品に詳しいわけではないので、新鮮な目で見てくれます。

また、新しい同僚に手伝ってもらうこともできます。Booking.comでは、新製品に慣れていない、入社したばかりの同僚に、テストを依頼することがよくあります。

そのプロセスは、カフェテストとかなり似ているはずです。事前に質問を準備して、刺激しないように会話を進め、会話を録音するか、メモを取ります。

4. 家族や友人


UXのおばあちゃんテストに合格できるといいですね!(photo by Alex Harvey)


UXコピーには成功の確かな指標があります。それは、あなたのおばあちゃんがあなたの書いた文章を理解できたなら、他の人も理解できるということです。

自分の作品をテストすることは、祖父母やいとこを訪ねる良い機会になります。おばあちゃんは、あなたのコピーのターゲットではないかもしれませんが、それこそが重要なのです。ここでの考え方は、プロダクトを使うかどうかにかかわらず、誰にとっても明確なコピーであるべきだということです。

友達との日曜のブランチを、フォーカスグループのディスカッションに変えることもできます。いつもの話題に変化を与えることで、新たな気づきが得られるに違いありません。

もう一度言いますが、質問のリストを用意して、すべての人に同じ質問に答えてもらいます。誘導尋問のような質問はせず、声に出して考えてもらいます。答えは記録しておき、後で分析できるようにしておきましょう。

家族や友人のグループの規模によっては、コーヒー1杯分以上のコストがかかるかもしれませんが、まあ、それだけの価値はありますよね。

注意事項

このようなフィードバック方法に基づいて、イチオシ商品のコピーを作るようになると、かえってマイナスになることがあります。助けてもらった人たちにお返しをするために、高級なエスプレッソマシンを買いたくなるかもしれません。あるいは、バリスタのコーヒーの淹れ方を追求するようになって、世界中から優れたUXライターが消えてしまうかもしれません。もちろん、カフェイン耐性を損なうことはありません。すべてのライターがコーヒーを飲みますから。

冗談はさておき、日進月歩のUXの世界では、自分のコピーが人の心にどう響くのかを理解するチャンスをつねに探し、自分の作品に対するフィードバックを得るための新しい方法を模索すべきだと思います。それが技術的に成長するための確実な方法です。

 


執筆者プロフィール:タンジャ・マティック(Tanja Matic

タンジャはBooking.com(オランダ)のUXライティングマネージャー。AIとUXの関係に興味を持ち、UXがAIの公平性にどのように貢献できるかを考えています。これまでのキャリアは、人権ジャーナリズムとドキュメンタリー映画の制作。
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