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コンテンツデザイナーになった…次はどうする?

コンテンツデザイナーになった…次はどうする?

翻訳記事 Mar 16, 2022

この記事はUX Collectiveのブログ: So you’re a content designer… what next?の翻訳転載です。著者のレイチェル・マッコネルさんの許可を得て公開しています。


キャリアの話なんかするだけ無駄ということはありません (Images by Elina on Blush)

自分はコンテンツデザイナーだ、コンテンツストラテジストだ、あるいはUXライターだと思っている人でも、おそらく、この先進むべき方向性について考えたことがあるのではないでしょうか。

キャリアアップについて考える視点はさまざまですが、多くの場合、現在の職務の中でどのように前進するか、そして次はどこに向かいたいかが、重要な検討事項になります。もちろん、中には5年後を見据えた具体的なプランがある人もいますが、私たちの多くは、数カ月から1年後のことを考えるのに四苦八苦していますよね(正直なところ、次の会議のことを考えるのも難しいくらい)。

私が学生だった頃は、デジタルデザインという仕事はキャリアの選択肢にありませんでした。そして、20年以上経った今でも、デジタルデザインの仕事はあっても、テック系キャリアとしてのキャリアパスはどれもあまり明確ではありません。そこで、この記事では、コンテンツデザインの職務においてどのように成長できるかと、次に進むべき道の2つのパートに分けて、書いていこうと思います。

1. ビギナーからリーダーへ

「デザイナーの全体像」についての記事で、コンテンツという専門分野を考慮していないものを見て、がっかりすることがよくあります。しかし、Intercom(そして私が勤務するBT社)のように、いくつかの特殊な技術(たとえばツール関係)を除けば、求められるスキルの多くは、あらゆる種類のデジタルデザイン分野で同じであることに気づいている企業もあるのです。私は数年前から、コンテンツ内でのレベルについて自分なりに定義し、ビギナーからマスターレベルになるにはどうすればよいか考えてきました。

ビギナー:コンテンツの戦略を決定し、ブランドのトーンオブボイスに沿った高い水準のコンテンツを作成できる。ステークホルダーと協力し、顧客の期待に合わせた基準を設定することの重要性を理解している。

発展途上:ユーザー調査を元に、ユーザーニーズを把握し、構造やフォーマット、トーンを決定している。明確で簡潔なコンテンツを作成している。さまざまな選択肢を検討するだけでなく、その判断に根拠を与えられる。他のデザイン部門と協力し、アイデアを出したり、制作している。躊躇することなく決定事項を関係者と共有し、フィードバックを収集している。明確なワークフローに従っている。

中級:ビジネスニーズとユーザーニーズを合致させ、コンテンツ要件を決定する方法を理解している。また、さらなるインサイトを得るために、自信を持って積極的に調査を推奨し、データや行動を分析して、仮説を立てられる。コンテンツ成功の可能性を評価し、コンテンツの主要な指標を設定できる(そして、それに対する追跡調査ができる)。気軽にフィードバックを与えたり、フィードバックをもらっている。デザインツールを使った共同作業に自信があり、ワークショップのファシリテーターとしても活躍できる。組織内でコンテンツを推進する主導的立場にある。

エキスパート:さまざまなチャネルや体験、組織を超えて、コンテンツがどのようにつながるかを戦略的に考えている。積極的にコンテンツの最適化に努め、デザインプロセスにおいて強い影響力を持っている。情報アーキテクチャを定義し、自信を持ってコンテンツの優先順位が付けられる。ユーザビリティを評価できる。エディトリアルからUI、チャットまで、さまざまなタイプのコンテンツを難なく作成し、デザインツールを使いこなしている。デザインに関する意思決定を積極的に記録しており、デザインとコンテンツの両方についてフィードバックできる。自分の仕事に対して十分な責任を持ち、その価値を実証している。他の人に対してコーチングを行ない、メンターとしての役割を果たしている。

リード:プロダクトの方向性を定め、ビジネス価値を定義する上で重要な役割を果たしている。コンテンツの作成と検証を行ない、その根拠をもとにステークホルダーに影響を与えられる。プロダクトチームやデザインチーム、ステークホルダーとの論評会を難なく主導し、ワークショップのファシリテーターを務めている。チームメンバーを指導し、組織内外でコンテンツデザインを推進する主導的立場にある。新しいツールやテンプレートを決定し、チームの実力を高めるためのより良い作業方法を推奨している。

ここで紹介したレベルを見て気づいたと思いますが、実際のコンテンツ作成は、仕事のうちのごく一部でしかありません。むしろ、仕事の進め方やマインドセットこそが、若手メンバーとシニアメンバーとの違いになるのです。上に行くほど重要になるのは、戦略思考、影響力、組織としての基礎体力向上などの能力であり、コンテンツに特化したスキルではありません。また、上級職になると、ビジネスバリューを示したり、プロセスの改善点を見出したりすることが重要になるという点にも、気づいたのではないでしょうか。

では、組織内でこれ以上の昇進やより戦略的な仕事をする余地がない場合や、日々のUXライティングの業務でこれらのジェネラルなスキルが十分に発揮されていないと判断した場合はどうすればよいでしょうか。その時は、次のキャリアを考える時かもしれません。

2. コンテンツデザインからのキャリアステップの可能性

UXやデザインのリード職に、UXやUIデザインのバックグラウンドを持つ人が就く傾向があることに気づいたことはありますか?多くのリーダー的役割は「実践的」ではなく、したがってツールに関するスキルはそれほど重要でないのを考えれば、これは不思議なことです。なぜ、そうしたリード職に進むコンテンツデザイナーが増えないのでしょうか?また、コンテンツデザイナーはプロダクトの方向性を決定することに長けているので、プロダクトオーナーの仕事も選択肢のひとつかもしれません。コンテンツデザイナーの足かせになっているのを知るために、この2つの分野をもう少し掘り下げてみました。

プロダクトマネジメント

数年前、サラ・リチャーズが、もっと多くのコンテンツデザイナーがプロダクトマネジメントの分野に行けばいいのに、と言っていて、私には理解できませんでした。でも、最近になって、考えを改めました。プロダクトチームで働くコンテンツデザイナーは、チームの仕組み、管理方法、アジャイル、反復設計、仮説の作成、バリューの測定など、プロダクトに関する優れた知識を持っています。また、戦略思考やコラボレーション、コミュニケーション能力にも長けています。もし、プロダクトの成果に対してもっと影響力を持ちたいのであれば、あるいはプロダクトを繋ぐ戦略的な思考が不足していることに不満を感じているなら、この方向性は、あなたにとって最適かもしれません。すでにデザインプロセスを理解し、すべての役割がどのように連携してユーザーとビジネスにインパクトを与えるかを理解していること。これが、成功への鍵なのです。

デザインリード

優れたコンテンツデザイナーがデザインリードの仕事に就くのを阻むものは何なのだろうと思い、Intercomのシニアデザインマネージャーであるジョナサン・コルマンに話を聞いたことがあります。コルマンによると、プロダクトデザイナーがコンテンツデザイナーよりも得意なことが多い2つの重要なスキルとして、プロセスとしてのデザイン思考に関する知識と、ビジネス戦略とそれに与える影響についての理解があるとのことでした。

「コンテンツデザイナーと話すと、たいていコンテンツの品質に関する戦術をたくさん聞かされる。それ自体は素晴らしいけれど、プロダクトの開発プロセスに結びついてないんだ」とコルマンは言います。コンテンツデザイナーは、自分たちのやっていることが、どのようにプロセスに適合し、各ステップでどのような価値を付加しているのか知る必要があります。これは、私が最近書いたことでもあります。

また、コンテンツデザインには優れた思考と厳密な思考が多く求められますが、コンテンツデザイナーである私たちは、その思考プロセスを記録するのは苦手な場合が多いようです。しかし、デザイナーは常にこの作業を行なっており、探索的な作業や進化の過程を頻繁に共有しています。先に書いたコンテンツのスキルレベルを見ても、根拠を示すこと、ワークフローに従うこと、デザイン上の決定を記録すること、プロセスの改善を提案することなどが大きく取り上げられていることがわかると思います。つまり、私たちにだってできるのです。ただ、もっと上手くなる必要があるだけです!

コンテンツデザイナーとして、ビジネスの価値やインパクトを示すことにもっと重点を置いていく。これもまた、私たちが発展できる分野ですね。また、コンテンツが戦略的であればあるほど、より広いレベルで影響を与えられるのですから、私たちはもっと戦略的に思考せざるをえません。リーダーシップというのは、このような遠くから見る俯瞰した視点を持っているかに大きく左右されます。

また、強力なリーダーシップは、人間関係の構築にもかかっています。コンテンツデザイナーである私たちは、ステークホルダーのマネジメントを通じて、ずっと良い関係づくりに取り組んできました。私たちは、コミュニケーションと影響力を高めるエキスパートなのです。

私はXelloのプロダクトエクスペリエンス担当VPのティ・テボーにも話を聞き、エクスペリエンスのリードは純粋なデザイン出身である必要があると思うか尋ねてみたところ、こう答えてくれました。彼の考えでは、リーダーシップとは「成功の条件を作り出すこと」であり、必要なスキルは戦略的なビジネススキル、つまりコミュニケーション、問題解決、関係管理、価値の実証…なのだそうです。テーマが見えてきましたか?

コンテンツデザイナーは、これまで自分たちを過小評価していたのかもしれません。私たちは、こうしたスキルを十分に備えているのですから!

コンテンツ オペレーション

コンテンツ オペレーションは、コンテンツ チームの効果的かつ効率的な運営と、着実にスケールしていくことを可能にします。オペレーションとは、障壁を取り除き、最適化し、着実な歩みを実現することだと考えてください。実際、リーダーシップとよく似ています。

プロセスの合理化、新しい働き方の提案、人々が迅速に行動できるようなサポート、新しいプラットフォームやシステムの選定が好きな人には、オペレーションの仕事がぴったりかもしれません。

その仕事には、能力開発から組織設計や予算編成などに役立つことまで、あらゆるものが含まれます。その内容はさまざまですが、戦略思考、コミュニケーション、プロセス思考、そしてコーチングやメンタリングなどのスキルは、どれも重宝するでしょう。デザインリードと同様に、成功のための環境づくりを目指しますが、こちらは純粋にコンテンツに焦点を当てた仕事です。

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コンテンツデザインのスキル レベルが上がるにつれて、次に何が来るか考えてみる価値は大いにあります。自分のスキルに足りないのはどこなのか、そして、次のキャリアパスへと進むために今、開拓できるのはどの分野なのか。ここで紹介した新しい分野の1つに心に響くものがあれば、さらに深く学んでみましょう。あなたのチームのプロダクトデザイナーやプロダクトオーナーにその役割について話を聞いたり、Slackグループに参加したり、その分野の本を読んだりしてみてください。

もちろん、リード職には進みたくないと思う人もいるでしょうし、それでもまったく問題はありません。ですが、コンテンツデザイナーが、ジェネラルなデザインリードやUXリードの役割に移るのをあまり見かけないからといって、自分の可能性に制限をかけるべきではありません。私たちにはそれを変える力があり、スキルもあるのです。

『Why you need a content team and how to build one(コンテンツチームが必要な理由とその作り方)』は、Amazonで購入できます。

翻訳:Kanako Noda


執筆者プロフィール:レイチェル・マッコネル( Rachel McConnell 

レイチェル・マッコネルは英国出身のコンテンツデザイナー、『LEADING CONTENT DESIGN』の著者。個人、デザインチーム、企業が作るコンテンツを、最大限機能させることを使命としています。
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