人はオンラインでは読まずにスキャンする。その人たちに向けて書く方法
Dec 01, 2022この記事はUX Planetのブログ: People Don’t Read Online—They Scan. This Is How to Write for Themの翻訳転載です。著者のリタ・カインドエンビーさんの許可を得て公開しています。
Amish Letter Writer by ホレス・ピピン
私たちはさまざまな目的でテキストを書きますが、共通点がひとつあります。それは、オンライン向けに書くことです。
Web上では、物事はややぎこちなく機能します。 各企業のライティングスタイルガイドやMediumの記事から、あなたはすでに、次の要素が読者の注意を引くのに役立つと知っているかもしれません。
- 段落を短く保つ
- 短い文と長い文を組み合わせる
- 箇条書きを使用する
- 適切なイラストを追加する
問題は、ライティングに「ライフハック」的なものを、むやみに応用するのは適切ではないということです。
医師は、治療する前に人体の構造を学びます。 ライターは、人々にコンテンツをがつがつ読んでもらえるようにするために、人間の目がどのように機能するかを学ばなければなりません。 どのように書くかを学ぶために、現代の人々がどのように読んでいるかを見てみましょう。
この記事の科学的な根拠
最も著名なUXリサーチ会社のひとつであるニールセン・ノーマン・グループには、人がどのようにオンラインで読んでいるかについて見識があります。この記事は、彼らのアイトラッキングの実験データに基づいています。
「スキャン」の概念
スキャンとは何でしょうか?それは、単語、フレーズ、見出し、またはページのセクションをすばやくパッと見ることを指します。
人々はおそらく、あなたのデジタルコンテンツをスキャンするだけで、読むことはしないでしょうが、それはあなたのせいではありません。 あなたは「アンナ・カレーニナ 2.0」を書いている次代のレオ・トルストイかもしれませんが、インターネットとはテキストに関して容赦がないものです。
ニールセン・ノーマン・グループの調査では、79%の人は、新しいページに出くわすたびに常にスキャンしています。ページのすべての単語を読む人は、わずか16%に過ぎません。
スキャンとは検索することです。 スキャン中の読者の行動は、単に怠けているように見えるかもしれませんが、そうではありません。 情報を探し出してフィルタリングするのは効率的な戦略です。 スキャンすることで、読者は情報のオーバーロード状態になるのを避けることもできます。
どんな時、スキャンしていると言えるのか?
- テキストの行全体ではなく、いくつかの単語を注視する。
- 「おいしい」情報を見つけるために部分をスキップするため、コンテンツの処理が直線的ではない。
- あなたは、おそらくこのテキストにも、ざっと目を通しているでしょう。 私はそれでいいんです、全く。
9つのスキャンパターン
私が知る限り、最初にスキャンパターンを発見、研究したのはニールセン・ノーマンの専門家です。 彼らは被験者の頭にカメラを装着し、テキストや画像を含むデジタルページをどのように視覚的に認識しているかをモニタリングしました。Hotjar(Webサイト訪問者の行動をヒートマップで分析するツール)を使用するようなものですが、被験者の目線についてそれを行ったのです。以下は、彼らが見つけた最も一般的なアイスキャンパターンです。
1. Fパターン
私たちは、左から右に読む場合、テキストを以下の図のようにスキャンしています。
ニールセン・ノーマン・グループによるFパターンの図式
テキストのすべての行の最初の単語に注目して、しばしば、前の行では行ごとにより多くの単語を見ています。 ページを下に移動するにつれて、各行で読む単語の数が少なくなり、左側に最も近い単語のみが読み取られます。
ニールセン・ノーマン・グループによるFパターン
アラビア語のように、右から左から読む言語の場合では、Fパターンは左右反転します。
ニールセン・ノーマン・グループによるアラビア語のページ内アイトラッキング
2. レイヤー(積み重なった)・ケーキ・パターン
しばしば、人々は小見出し(h2タグ)だけを読んだり、検索したり、スキャンしたりします。
ニールセン・ノーマン・グループによるレイヤー・ケーキ・パターン
この読み方のパターンは、ページのトピックを見つけて識別するのに役立ちます。 人々は自分にとって役に立つセクションを読み、役に立たない見出しが入ったテキストのセグメントを無視します。
ニールセン・ノーマン・グループによるレイヤー・ケーキ・パターン
簡潔で、情報を提供するような小見出しは、読者が情報をすばやく見つけ、長いテキスト全体を通して集中を維持するのに役立ちます。 したがって、小見出しをわかりやすくする方が、それらを楽しく、気の利いたものにするよりも役に立ちます。
3.スポット(目星をつける)・パターン
読者は時折キーワードをスキャンします。
ニールセン・ノーマン・グループによるスポット・パターン
ここに示すのは、数字を主に検索して注目している人の例です。
ニールセン・ノーマン・グループによるスポット・パターン
このパターンは、スキャンパターンがランダムではないことの証明です。 私たちは皆、Webで文章を読むとき、無意識のうちに重要な情報を探しています。 楽しみのために記事を読むというようなことはありません (読んでいるのが「ニューヨーカー」でない限り)。
4. コミットメント(熱意を持った)・パターン
類まれな宝石です。 もしあなたが特定のサブヘッダー (h2タグ)に興味がある場合、あなたはその下のテキスト全体を読むでしょう。
ニールセン・ノーマン・グループによるコミットメント・パターン
このパターンは、人々が関心のあるセクションの下のすべての行を読むことを意味します(これは、小見出しを適切にするもう 1 つの理由になります)。
ええ、このことはもっと早くお伝えすべきでしたーそれは非常に重要なのですーしかし、私はこの事実を「熱意を持った(コミットした)」ライターのために、ここでは隠しておくことにします。人々はオンラインで読むとき、スキャンするだけでなく、答えを探します。 彼らは楽しみのために本を読むのではなく、頭の中の課題を解決できるような情報を見つけるために読むのです。「クッキーの生地の作り方は?」「なぜ私は他人の意見に固執してしまうのでしょう?」「エリザベス2世が生まれたのはいつ?」などなど...テキストは答えを提供しなければなりません。
コミットメント・パターンの話に戻りましょう。これは、読み手が自分のタスク、トピック、または興味に直接関連するセクションを見つけた場合にのみ発生します。料理のレシピと共通しています。 読み手は、正しい情報を見つけた後、スキャンを停止するか、もう少しさまよい続けることができます。
ニールセン・ノーマン・グループによるコミットメント・パターン
コミットメント・パターンでは、それに関連して否定的な感情が生じることはありません。ここは、その姉妹版であるエグゾースティブ(徹底的な)・レビュー・パターンとは異なるところです。
5. エグソースティブ(徹底的な)・レビュー・パターン
試験勉強中の学生は教科書のページをこのパターンで読みます。コピーライターが他のライターの書いたテストタスクを読む時も、このような読み方をします。
ニールセン・ノーマン・グループによるエグゾースティブ・レビュー・パターン
徹底的なレビューは、理論的には利口なやり方のように見えますが、決してよいものではありません。この読み方は多くのエネルギーを必要とし、行の間を行ったり来たりします。 徹底的なレビューは、次のような場合に行われます。
- テキストは読みづらいが、外的理由 (試験など) で読む必要がある
- テキストのトピックが読み手の専門知識を超えている
- 情報が欠けているが、読み手はそれを見つけたいと思っている (不十分に書かれた FAQ や指示書など)
ニールセン・ノーマン・グループによるエグゾースティブ・レビュー・パターン
読み手は、記載された情報を見つけたり理解したりするのに、しばしば苦労します。彼らは、コミットメント・パターンよりもはるかに頻繁に、テキスト内を行ったり来たりしなければなりません。このパターンは、フラストレーションと失望の源です。
6.リスト・バイパス・パターン
読み手が本文をスキップしてリストのみ読む場合に起こります。
ニールセン・ノーマン・グループによるリスト・バイパス・パターン
もしリストの各項目の最初のワードが似通っている場合、読み手はリスト・バイパスを行う際にそれらを読み飛ばしてしまうでしょう。
ニールセン・ノーマン・グループによるリスト・バイパス・パターン
ニールセン・ノーマン・グループでは、読み手はFAQリストをスキャンするときに、「なぜ」と「どのように」の項目をスキップすることが多いと述べています。
7. セクション・バイパス・パターン
読み手は、ページ中のセクション全体をスキップすることもあります。
ニールセン・ノーマン・グループによるセクション・バイパス・パターン
あまり価値のないテキストでよく起こります。セクション・バイパスは Fパターンのように見えますが、読者は行をちらりと見ることすらありません。
ニールセン・ノーマン・グループによるセクション・バイパス・パターン
8. ローンモア(芝刈り機)・パターン
このパターンはテキストというより、ウェブサイトのコンテンツ全体に関する話です。 ページが、画像、ビデオ、テキストなどのコンテンツのセルに分割されている場合、私たちの目は芝刈り機のようなパターンで動きます (そうです、草を刈るときのように)。
ニールセン・ノーマン・グループによるローンモア・パターン
次の Apple Watchに関するページは、コンテンツの「セル」がどのように見え、ローンモア・パターンを表しているかを示す完璧な例です。
ニールセン・ノーマン・グループによるローンモア・パターン
9. ジグザグ・パターン
このパターンは、テキストと、その横に小さなテキストの抜粋/画像があるページで発生します。
ニールセン・ノーマン・グループによるジグザグ・パターン
なぜ読み手はジグザグにスキャンするのでしょうか? 彼らは画像に心惹かれているか、画像または文章によって混乱しているかのどちらかです。
ニールセン・ノーマン・グループによるジグザグ・パターン
テキストを最大限に読みやすくする10の方法
私の個人的な経験と、人間の目の構造に基づいて、以下にコンテンツをスキャンに適したものにするための10の方法をお勧めします。
- テキスト本文の内容に関連する見出しと小見出しをつけます。読み手が、簡単に物を見つけられるようにすれば、きっとありがたく思ってもらえるでしょう。
- 文または箇条書き箇所の中心的なメッセージをフロントロード(最初の3語として使用)します。 Fパターンを覚えておきましょう。
- キーワードに太字を使用するか、他の方法で強調します。ただし、人々を混乱させてしまわないよう、使いすぎに注意しましょう。すべてを強調すると、何も目立たなくなります。
- 箇条書きは役に立ちます!ただし、残念ながら、項目が4~5個未満の場合のみです。
- 簡単な言葉を使うことも効果的です。理由についてはもうお分かりだと思いますが、テキストを読むための専門知識が必要最小限で済むようにすれば、より多くの人に読んでもらえます。また、テキストを読む際に行きつ戻りつする必要性も軽減されます (これはげんなりしてしまいます)。
- 導入部分を長ったらしくしないでください。これは私の悪癖でもありますが・・・。 非常に重要で、きちんとした構造を持った、有益かつ簡潔なブロックにすばやく移動します。長い導入部分は、本文でこれ以上大事なことが出てこないというサインです。
- 逆ピラミッド・スタイルを使用します。これは、最も重要な情報(誰が、何を、いつ、どこで、なぜ)を冒頭に置くことを意味します。その後に、詳細や個人的な経験を追加し、最後に最も重要でないもの (意見など)を最後に置きます。または、記事の最も重要な要点を要約することも役に立つでしょう。ほら、ここみたいに。これは、上記のパターンの単なるおさらいです。
- 潜在的な読者が数字を検索すると考えられる場合は、数字を使用しましょう。例えば、記事がチーターに関するものである場合は、最高速度が「時速八十キロメートル」ではなく、「時速80km」から始まると書くのがよいでしょう。
- 動詞を追加しましょう。これは私自身の経験から言えることです。動詞を含む文は、より簡単に削除できます。また、動名詞よりは不定詞を使ってください(私のようにならないで)。
- トピックについてリサーチしましょう。つべこべ言わずに、とにかくリサーチをしてください。中身のないテキストはつまらないものです。人々はあなたの文章スタイルを賞賛するためではなく、情報を求めてやって来るのです。あなたの評判が危機に瀕しないように、確かな情報源で事実を確認してください。
この記事はあなたの役に立ちましたか? テキストをより読みやすくするために、他にもヒントがあるでしょうか?
翻訳:Chieko Kubo