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小さなUXの犯罪: デザインにおけるダークパターン集

小さなUXの犯罪: デザインにおけるダークパターン集

翻訳記事 Sep 08, 2021

この記事はUX Collectiveのブログ: Little UX crimes: a collection of Dark Patterns in designの翻訳転載です。著者のアリョーナ・キリチェンコさんの許可を得て公開しています。

ダークパターンとは、インターフェイスデザインにおける騙しのテクニックで、ユーザーを意図的に騙して、やりたくないことをさせる手法です。私たちデザイナーには、有意義でつながりのある体験を、ユーザーに対して提供する責任があります。ダークパターンを使ったデザインは、実質的にUXを利用した犯罪です。

基本的に、ダークパターンはヤコブの法則を利用しています。

ユーザーは、ほとんどの時間を他のサイトで過ごします。つまり、ユーザーはあなたのサイトが、すでに知っている他のサイトと同じように動作することを好むということです。


つまり、ユーザーは、他のサイトで見たことのあるような、特定の場所や形式での一般的なインタラクションを期待しています。そこで登場するのが「ダークUX」です。ダークUXは、ユーザーが望んでいるインタラクションに偽装して、わざと望まないインタラクションを起こそうとするのです。ダークUXは、ユーザーがウェブサイトをざっと読んで重要な情報を得たり、つまらない情報を読み飛ばしたりするという事実を利用しています。ユーザーが何か他のことをしている最中に現れます。

私は、有名ブランドのウェブサイトで見つけた、誤解を招くようなデザインの事例を集めました。ブランドへの憎しみではなく、問題そのものに集中できるように、あえて本物のスクリーンショットを自分のワイヤーフレームに置き換えています。何をデザインしてはいけないのか、何をクリックしてはいけないのかを理解していただくために、このシリーズを始めます。

利用規約の代わりにサブスクリプションへの同意を入れる


この事例では、通常「アカウント作成」ボタンの上にある「利用規約に同意します」のチェックボックスの位置に、ニュースレター登録への同意が表示されています。利用規約はボタンの下に配置されているので、これもやはり同意することになります。アカウントの作成を急いでいるときに、間違ってメーリングリストへの同意をクリックしてしまう人はどれくらいいるでしょうか?たくさんいますよね。

ほとんど見えない配信停止ボタン

古典的なトリックのひとつ、通常はEメールのフッターに配信停止ボタンを含めますが、これでは実質的に表示されていないも同然です。このダークパターンでは、配信停止ボタンが、小さなフォントサイズで目立ちにくい色の長いフッターテキストに隠れていることがよくあります。このようなデザインを見ると、私はいつも疑問に思います。配信停止ボタンを隠さなければならないほど、メールの品質に自信がないのでしょうか?ユーザーが喜ぶようなメールを送ればいいのでは?

不適切なラジオボタンを事前選択する

メールの配信を停止するには、普通はメール内の「配信停止」ボタンをワンクリックするだけです。時には、その後に表示されるWebページで「確認」をクリックする必要があります。
この例では、ユーザーは3つのラジオボタン、その後に「送信」「キャンセル」の2つのボタンから選ぶという、思っているよりも多くの選択をしなければなりません。そのため、ユーザーは自動的に、事前選択されている「これからもメールを希望します」が自分の望んでいた選択肢だと思い込み、急いで送信ボタンをクリックしてしまいます。言葉の選び方なども、ユーザーを惑わせるための仕掛けです。

次の2つ目の例では、ユーザーはメールアドレスの入力も求められているので、あらかじめ選択されているラジオボタン「考え直したので、このままにしておいてください」は目に入らないでしょう。

クーポンコードの入力欄を隠す

悲しいことに、最近ますます多くのウェブサイトでこの手口を目にするようになりました。ユーザーは、期間限定のクーポンコードによって、買い物の意思決定をすることが多いです。しかし、チェックアウト画面に移ると、たくさんの入力欄やテキストが目に入ります。そのため、クーポンコードを入力するボックスを見逃してしまうことがあります。クーポンコードの入力欄は、オープンな状態で確認ボタンの近くやページの上部に配置されているのが一般的でしょう。

しかし、この事例では、入力欄を開くリンクを見つけるためには、テキストを読まねばならないことがわかります。つまり、1回の操作ではなく、2回操作を行わなければなりません。これはまだページの一番上に配置されているので、すべてのユーザーが見逃すとは思いませんが、中には騙される人もいるでしょう。このダークUXによってウェブサイトはさらにお金を稼げるようになるでしょうか?もちろんです。

インターフェイスでユーザーを騙すことは、ユーザー体験を設計する上で適切な方法ではありません。ブランドへの憎しみとまではいかなくても、不満を抱かせることになります。これでは長期的に顧客の維持率が低下することは間違いありません。


執筆者プロフィール:アリョーナ・キリチェンコ( Aliona Kyrychenko 

アリョーナは、AIの力で組織の生産性を向上させる自動化プラットフォームDataRobotのプロダクトデザイナーです。DataRobotではモバイルアプリのビジュアルランゲージと情報アーキテクチャの設計を担当しています。ユーザーの持つニーズへの共感と、ビジネスのゴールをつなぐことを第一に考える、結果重視のプロダクトデザイナーです。
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