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UXライティングで恐怖心を和らげ、コンバージョン率を高める方法

UXライティングで恐怖心を和らげ、コンバージョン率を高める方法

翻訳記事 Sep 22, 2021

この記事は How UX Writing Reduces Fear and Increases Conversionの翻訳転載です。著者のキャロライン・ピエルッチさんの許可を得て公開しています。

プラスアルファの言葉で、信頼を生み、恐怖心を和らげ、コンバージョン率を高める方法。

ユーザーには、企業を不信に思う理由がたくさんあります。誰もが何かを売りたいと思っているし、今日は無料でも明日には有料になってしまう。ユーザーがメールアドレスを入力すると、大量のスパムメールが送られてきます。そして、ただ閲覧したいだけなのに、新しいソファを買ってしまったり、50歳の誕生日をSNSでシェアしてしまったりする。ユーザーは、自分の個人情報やプライバシーを守り、衝動買いをしないように、常に気を配らなければなりません。つまり、ユーザーは疑心暗鬼になっているのです。

不安の解消

インターネットユーザーは常にストレスにさらされています。UXライターのゴールは、このストレスを解消することです。通常は、何かをアクションしたときに何が起こるのかを一言で説明すれば十分です。そうすれば、ユーザーは自分が何をしようとしているのかを理解し、一息ついて、安心してクリックできます。不信感を明確にし、不安を解消することが目的です。

そこで私は、このようなマイクロコピーを「メンタルリラクサー」と呼んでいます。これらのテキストは、カスタマージャーニー中の絶え間ない精神的ストレスから一息つくためのものです。そして、企業への長期的な信頼を育みます。もちろん、「メンタルリラクサー」を使用する際には、基本的な倫理原則が適用されます。このような言葉の挿入は、約束されたことが実際にユーザーに起こる場合にのみ使用すべきです。


「UXライティングでは、ユーザーの潜在的な不安を解消するための短いフレーズを『メンタルリラクサー』と呼んでいます。解決策や指針、明確な情報を提供することで、不安は解消され、ユーザーはよりリラックスした状態でユーザー・ジャーニーを続けることができます」 

メンタルリラクサーのカテゴリー

私はコンテンツストラテジストとして、パターンを作るのが好きです。そのため、「メンタルリラクサー」を5つのカテゴリーに分けてみました。では、早速見ていきましょう。

カテゴリー1:プライバシーとデータセキュリティ

ケンブリッジ・アナリティカのスキャンダル以来、ユーザーはデータ保護の問題に敏感になっています。ユーザーの信頼を(再び)得るためには、このテーマに取り組み、ユーザーデータがどのように扱われているかを積極的に表明することが助けになります。ただし、法務部門は会社のリスクを軽減しなければならないので、法務部門が述べる内容には注意が必要です。簡単に言えば、あなたの会社が秘密を守れないのであれば、次のようなことを言うべきではありません。

データ保護に関連するメンタルリラクサーの例

- 私たちはお客様の情報を守ります。

- お客様のデータは保護されています。

- この変更を行っても、誰にも通知されません。

- この情報は、あなたの公開プロフィールには表示されません。

- 自動投稿することは絶対にありません。

- あなたの回答は匿名のままです。

- すべてのデータは暗号化されます。


私たちはこのカテゴリーについて、かつてFacebookで働いていたシャーリー・チャンと議論しました。 彼女は素晴らしい実践方法を提案してくれました。データ規制やその他の法的に繊細なトピックについては、これらのルールをまとめたリソースを作成し、すべてのコンテンツ制作者が簡単に参照できるようにしてください。ほかにも良い方法があります。このような情報はデータベース化しておきましょう。そうすれば、規制が変更されたときに、ユーザーに規制を伝えるすべての場所が自動的に更新されます。これは非常にセンシティブな情報ですから、取り扱いには細心の注意を払いましょう。

カテゴリー2:プロセスの透明性

「どれほど時間がかかるか」を示すフレーズは、メンタルリラクゼーションに最適です。ユーザーがアンケートなどに参加する動機付けにもなります。ただし、使い方には注意が必要です。このような時間の目安は、ユーザーが失敗できない、時間がかかりそうな場合にのみ使用することをお勧めします。例えば、3つの「はい」か「いいえ」の質問に答えるような場合です。時間の約束が守れない場合は、このようなフレーズは使わない方が良いでしょう。また、「いくつの質問に答えなければならないか」を具体的に説明する方法もあります。これは、時間の約束ほど強力なメンタルリラクサーではありませんが、ユーザーにこれからの作業に対する準備をさせることができます。さらに、ウィンドウを閉じたり、オプションをスキップしたりしても安全かどうかなど、特定の行動がユーザーに与える影響を示すメンタルリラクサーもあります。

プロセスの透明性に関連するメンタルリラクサーの例

- 所要時間はわずか3分です。

- このアンケートの質問数は5つです。

- ご希望の製品まであと3クリックです。

- このウィンドウを閉じても、ダウンロードに影響はありません。

- キャロラインさん、お帰りなさい。

- 今はスキップ。

- いつでもキャンセル可能。

カテゴリー3:金銭的な側面

ユーザーは、特に金銭的な面で多くの不安を抱えています。少しでも安心できる言葉をかけることで、ユーザーを落ち着かせ、そのお金を使ってもらえるようになることがよくあります。

お金に関連するメンタルリラクサーの例

- お客様のクレジットカードには課金されません。お客様のカード情報は、予約を保証するためにのみ必要となります。

- ご迷惑をおかけしております。お客様のアカウントデータの確認には3日かかります。

- いつでも無料で配信停止できます。

- まだ何もお支払いいただく必要はございません。この予約に縛りはありません。

- 返品は無料です。

- お支払いは、お客様の明細書に[会社名またはユーザー名]として記載されます。

- クレジットカードは必要ありません。
 

カテゴリー4: 柔軟性を保つ

最終的な意思決定には、しばしば熟考する時間が必要です。通常、カスタマージャーニーではユーザーにそのような時間は与えられません。カテゴリー4の「柔軟性を保つ」のメンタルリラクサーは、この点を改善し、調整のためのバックドアを開いておきます。


柔軟性に関連するメンタルリラクサーの例

- お選びの商品はあとで変更できます。

- いつでも戻ることができます。

- ワンクリックで配信停止できます。

- 仮のタイトルで構いません、これはあとで変更可能です。

- 自動保存しています。

- 変更内容が保存されました。

- これは「設定」で変更できます。

- これはいつでも変更できます。

- 今はスキップ。

カテゴリー5: 迷惑な連絡

ユーザーが何かをダウンロードしたり、自分のデータを公開したり、注文をしたりすると、直感的に迷惑なウィルスやメールが送られてくるのではと予感してしまいます。積極的で信頼感のあるフレーズは、この不安を和らげるのに役立ちます。


迷惑な連絡に関連するメンタルリラクサーの例

- 迷惑メールは送りません。お約束します。

- いつでも解約できます。

- ご注文について質問がある場合のみ、ご連絡いたします。

- ワンクリックで配信停止できます。

- お客様のデータを第三者に共有することはありません。

- ドキュメントにウイルスやスパイウェアが含まれていないか確認済みです。

メンタルリラクサーのカテゴリーと模範的な表現


これらのカテゴリーは明確には定義されていません。例えば「まだ何も支払う必要はありません」のように、3番目と4番目のカテゴリーである「金銭的な側面」と「柔軟性を保つ」の両方に配置できるメンタルリラクサーもあります。

メンタルリラクサーの作り方

これらがメンタルリラクサーです。しかし、ユーザーに安心感を与え、モチベーションを高めるための適切な表現を見つけるにはどうすればよいのでしょうか?ここでは簡単なハウツーをご紹介します

#1: ユーザーとビジネスのニーズを把握する
扱っているインターフェイスの背景にあるビジネス上のゴールを把握しましょう。そうすることで、なぜユーザーにお願いする必要があるのかが明確になります。そして、ユーザーの視点に立って、注文やコンテストへの応募などのプロセスを段階的に進めていきます。

#2: 懸念事項を定義する
ユーザーのニーズがわかったら、今度は逆に、ユーザーが抱えている不安や悩みについて考えてみましょう。プライバシー、プロセスの透明性、金銭面、柔軟性、スパムなど、カテゴリー別に考えてみるとよいでしょう。

#3:バージョンの作成
最後に、UXライターとしては、定義されたニーズを満たすと同時に、特定された懸念を和らげる方法を考え、それをできるだけ少ない言葉で表現する必要があります。ケースにもよりますが、これは簡単なことではありません。この時点で、異なるバージョンを書いて、選択したターゲットグループでテストすることをお勧めします。


執筆者プロフィール:キャロライン・ピエルッチ(Caroline Pieracci

キャロラインは、スイスのデジタルエージェンシーLiipのコンテンツストラテジストです。コンテンツチームをゼロから立ち上げ、現在はチームの文化を育みながら、新たなコンテンツストラテジストやUXライターを指導しています。
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