UXライターがペアライティングの力を活用するには
Sep 29, 2021この記事はUX Planetのブログ: How UX writers can harness the power of pair writingの翻訳転載です。著者のスティーヴン・ダグラスさんの許可を得て公開しています。
「2つの脳は1つよりも優れている」という言葉をご存じですか?コンテンツ制作において、この言葉はライターにとって強力なツールです。
UXライターになったばかりの人や、他のライターから転職してきた人は、私と同じように慣れない分野に足を踏み入れることになるかもしれません。
UXの世界は、慣れていない人にとっては怖いものです。学ばなければならない新しい専門用語、取り組むべきツール、頭の中で整理しなければならない方法論、そして他の業界と同様に、避けるべき専門用語があります。
しかし、この半年間で自分の役割をより深く理解し、それをより良く行う方法を教えてくれたものがあるとすれば、それはペアライティングです。
ペアライティングとは?
私が初めてペアライティングを知ったのは、サラ・リチャーズの本『Content Design』を読んだときでした。そのアイデアはとても画期的なものでした。
UXライターである私たちは、明確で簡潔な文章を作る方法を知っています。しかし、その文章を作るための材料、つまりメッセージの肉や骨が必要になることがよくあります。このような素材は、たいていの場合、その分野の専門家の頭の中に閉じ込められているものです。
そこで、専門家にメールやインタビューをすることで、彼らの知識を得ることができるのです。ステークホルダーインタビューも良いリサーチ方法です。しかし、この方法では、必要なすべての情報を把握できないことがあります。
ペアライティングとは、ライターであるあなたが、専門家と一緒に執筆することです。専門家はユーザーにとって役に立つ知識を持っていますから、彼らと一緒に書くことに意味があるのです。
警告:ペア・ライティングは、あなたをコンフォートゾーンから連れ出します。
最初は、ペアライティングに違和感を覚えるかもしれません。
コンテンツマーケティングやコピーライティングの仕事をしてきた人は、孤立して仕事をすることに慣れているかもしれません。私も以前の仕事ではそうでした。以前は、自分と自分のアイデアとキーボードだけで仕事をしていました。これは私の内向的な性格によく合っていました。
しかし、UXライティングは他のタイプのライティングとは異なります。
プロダクトオーナー、開発者、デザイナー、そしてリサーチャーやユーザーとのコラボレーションが必要なのです。さらに言えば、UXライティングには共創(コ・クリエーション)が必要だと思います。
ペアライティングは、自分自身がユーザーエクスペリエンスデザインの分野のライターであることの見方を変えました。書くことを恐れず、ライティングのプロセスに参加してもらい、プロダクトジャーニーの一部であると感じてもらえる、ということを教えてくれました。
ペアライティングは次の点で素晴らしいです:
- 仕事がやりやすくなります。
- 人は、自分の意見を聞いてもらえたと感じると、コンテンツを真剣に受け止める可能性が高くなります。
おっと、ちょっと待ってください。コラボレーションと共創ってそもそも何でしょうか?
グレッチェン・アンダーセンは『Mastering Collaboration: Make Working Together Less Painful and More Productive』の冒頭で、ケイト・ラッターが協力、コラボレーション、共創の違いをどのように説明しているかについて書いています。
協力とは:人々がタイミングを合わせて何か物事を行うことであり、多くの場合、順序立てられ、一連の基準に沿って行われます。
コラボレーションとは:協力よりは形式張っておらず、複数の人がある結果に向けて作業することですが、全員が解決策を構築するために作業するわけではありません。
共創とは:2人以上の人が一緒に何かを作り、それぞれのスキルを活かして具体的なものを作り上げることです。
ペアライティングは、これとよく似ているペアデザインやペアプログラミングと同様に、共創の場です。
『Build Better Products』のローラ・クラインの言葉を借りれば、ペアライティングによって私たちは、「何かを一緒に実装するために一時的に割り当てられた "リソース "のゆるやかな集合体」から、「リアルタイムで一緒に働く真のチームメイト」になることができるのです。
ペアライティングがもたらす10の即効性
私は以前、自分のライティングのプロセス(特に未完成のもの)を人に見せるのが怖かったのですが、すぐにそれはエゴに駆られた完璧主義であることに気づきました。
書きかけの作品を人に見られたくなかったのは、作品の質を判断されるかもしれないからです。「もし、私が良いライターではないと思われたらどうしよう!?」と。
UXライティングは、まったく別のアプローチです。自分のことではありません。ユーザーにとって正しいコンテンツとは何かを考えることです。そして正直なところ、自分のコンフォートゾーンから一歩踏み出すことで、自尊心を高めることができるのです。これは私の経験からの話です。
ペアライティングでは、自分の書いたものが最初から素晴らしいものでなくても構いません。共同制作者と一緒に書き続けることで、適切なメッセージに近づいていきます。
私は自分のエゴを克服した後、ペアライティングのメリットを少なくとも10個発見しましたが、もっとあると思います。
- 方向転換が早い
- エンゲージメントが向上する
- 複雑さが軽減する
- 即時のフィードバックが得られる
- サイロをなくせる (イェイ)
- チームがUXライティングを評価する
- 地獄のチェーンメールが減る
- プロジェクトの整合性が向上する
- チームメイトをよりよく知ることができる
- 文化的ニュアンスの理解が深まる
私の仕事では、ペアライティングによって、マーケター、システムデザイナー、UXer、プロダクトオーナー、リサーチャー、ゲームデザイナー、ストラテジスト、そして他のライターと共同制作することができました。
ペアライティング・セッションの始め方
すべての分野の専門家が、あなたのように熱心にライティングに向かおうとするわけではありません。
これは、ライターとして直面しなければならない現実です。幸いなことに、必要な情報を得るためにできることは他にもあります。
ここでは、ペアライティングを始める際に役立つヒントをご紹介します。
味方を見つけよう
何よりもまず、ペアライティングを成功させたいのであれば、味方を見つける必要があります。
味方とは、コラボレーションに飢えている人たちのことで、「組織の中で変化を起こしたい」、「素晴らしいプロダクトを作りたい」など、彼らは同じ志を持つ人々を見つけたがっています。味方を探し出しましょう。
UXライターの自然な協力者は、リサーチャーやデザイナーになるでしょう。彼らと会話をしましょう。彼らの仕事について聞いてみましょう。そうすることで、共同作業ができる分野を見つけ出せます。ペアライティングのアイデアを出してみましょう。驚いたことに、リサーチャーやデザイナーがその場でコンテンツを作成していることに気づくかもしれません。彼らはあなたを必要としているのです。
デザイナーはすでにペアデザインに慣れているかもしれませんが、リサーチャーの場合は、セッションで実際にほぼ完成したコンテンツをテストすることで、大きなメリットを得られます。
説得力のある言葉を使う
これまで述べてきたように、ペアライティングについて他人に話すと、冷たい態度を取られるかもしれません。
それは、「自分はライターではない」という抵抗感があるからです。ここで、説得力が必要になります。ペアライティングを売り込みましょう。そこには10の利点があります。これらを使うのです。
ペアライティングがいかに時間を節約し、効率を高め、シームレスな共同作業を可能にするかを説明できれば、あなたは勝者となるでしょう。
コンテンツ担当者として、あなたは説得力を高めねばなりません。なぜなら、コンテンツデザインは結局のところ政治的なものだからです。そして、政治においては、それぞれをつなぐ架け橋が必要です。
小さく始める
少しずつ心を動かしていくには、小さな改善の積み重ねが重要です。
小さく始めましょう。いきなり10ページのドキュメントから始めてはいけません。GatherContentのジョナサン・カーンは、1回のセッションで書き下ろせるくらいの、小さなコンテンツを選ぶのがベストだと言っています。私もそう思います。そうすることで、ペアライターに負担をかけずに済むからです。
UXライターは幸運なことに、通常はマイクロコピーを書いているので(もちろん、これだけが仕事ではありません!)、過剰な長さにはなりません。
正しいツールを手に入れよう
同じ部屋で一緒にペアライティングができるなら、素晴らしいことです。やってみてください。それが一番の近道です。
タイピングも交互に行うと効果的なので、是非とも分担してください。ミュージシャンがジャムセッションをするように、リアルタイムでお互いに意見を言い合えるとさらにいいですね。
難しいのあれば、ツールキットをきちんと用意する必要があります。といっても、それほど多くは必要ありません。
いずれにせよペアライティングには、次のものが必要です:
- Google ドキュメントやGoogle スプレッドシートのような共同作業用スペース、Figmaのようなやデザインツール
- リアルタイムのコミュニケーション手段(Slack、Skype、電話)
人ではなく、仕事を批判する
エゴについて話したのを覚えていますか?自分の作品を公開するとき、自らの弱さをさらけ出してしまい、批判を聞くのが耐えがたく感じられるかもしれません。
この問題に不安を抱く人は珍しくありません。しかし、コンテンツの批評は、私たちを前進させ、アイデアを新鮮にし、コミュニケーションを明確にするのに役立ちます。
ペアライティングのセッションを始める際には、そのセッションはあくまでもページ上のアイデアや作品に関するものであり、それ以上のものではないことを説明するのが良いでしょう。
個人的なことではなく、言葉やアイデアについてのみ話すことを明確にすることで、お互いに同じ理解を得ることができ、衝突を避けられます。
ペアライティングでは、特にアイデアの価値や良さを議論する際に、コミュニケーションが欠かせません。声に出して話す場合も、意見の食い違いを伝える場合も、トゲトゲしい批評になっていないか確認すべきです。
これはどういうことか?
非暴力的なコミュニケーション、つまり思いやりのあるコミュニケーションとは、共感をもってコミュニケーションをとることです。「正解」や「不正解」の枠を超えたコミュニケーションのことをいいます。
あなたのパートナーが何かを書いた場合、パートナーは「批判されたくない」と思っている可能性があります。互いに半円を描くように座って、コンピューターと向き合うのがいいでしょう。そうすれば、ペアライティングのセッションが対立的なものにならずに済みます。
思いやりのないコミュニケーションを例に挙げると、次のようになります。
私はあなたが書いたものが気に入りません。内容が悪いし、私たちのオーディエンスに合っていないと思います。
思いやりのあるコミュニケーションは、それを覆します。
これは良いスタートですね。しかし、このアイデアをさらに推し進めてはどうでしょう。この角度から考えてみませんか?
ペア・ライティング - おわりに
ペアライティングは、他の誰かと一緒に仕事をするという新しい方法に、気づきを与えてくれました。
自分の仕事だけでなく、一緒に働く人たちに関しても、洞察力や知識を得られました。
彼らの考え方に適応できるようになったので、仕事が楽になり、もっと楽しくなりました。あなたもぜひ試してみて、その結果を教えてください。