
音声体験のための書き方:UXライターのための4つのヒント
Aug 31, 2022この記事はアンナ・ジョリフ氏のブログ: How to write for voice experiences: 4 key tips for UX writersの翻訳転載です。著作元のUX Content Collectiveの許可を得て公開しています。
優れたUXライターの特徴は、印象的なコピーを書く能力ではなく、ユーザーと効果的にコミュニケーションする能力があることです。UXライターは、言語能力だけでなく、ユーザーがどのような人なのか、どのようにプロダクトを使用しているのか(音声体験を含む)を理解し、共感する力が求められます。
GUI(グラフィックユーザーインターフェイス)の見出しやマイクロコピーを書くライターと同じスキルが、音声体験や VUI(ボイスユーザーインターフェイス)の質問や返答を設計する会話デザイナーにも求められます。つまり、UXライターとして、会話デザインに必要な基礎的スキルを身につける必要があるのです。
しかし、会話デザイナーを自負する前に、まず自分がデザインしている状況を理解しなければなりません。ユーザーが情報を読むときと聞くときとで、どのように情報を消化するか、また、画面を介さない場合、ユーザーはその情報にどう反応するのかを考えねばなりません。
エンジニアリングの面では、ユーザーが話していることを文字に起こす自動音声認識(ASR)、文字にした内容に意味を割り当てる自然言語理解(NLU)、ユーザーの意図に基づいて機能する人工知能(AI)など、これまでとは異なるテクノロジーに取り組んでいることを意識しておいてください。
このような新たな環境での音声体験に慣れるのは大変です。そこで私は、仲間のUXライターたちが、「読むための文章」から「聞くための文章」へとシフトするためのヒントとガイドラインをまとめました。
CTAにはステージ設定が必要
VUIで何ができるかを具体的に示すコールトゥアクションを書きましょう。
音声アシスタントと対話する場合、ユーザーは自分が返答する内容に制約を受けません。
アシスタントにプログラムできる最悪のプロンプトは、「どうされましたか?」のような自由形式の質問です。
たとえばあなたが、料理やお菓子作りのスキルとして「代用食材アシスタント」をデザインしているとします。このスキルは、ユーザーがレシピに必要な食材を切らしている場合、置き換えできる食材を提案するものです。
アシスタントは、「今日は何を手伝いましょうか?」と切り出し、ユーザーは、「ギー(バターオイル)はどこで買えますか?」と答えます。このスキルは、特定の食料品がどこで手に入るかをユーザーに知らせるためのものではありません。また、このような質問に答えるようにプログラムしたわけでもありません。
このような「エッジケース」、つまりユーザー体験を壊してしまうようなごく稀な状況は、「今日あなたが代用したい食材を教えてください」のように、もっと的を絞ったコールトゥアクションで会話を始めていれば避けられたかもしれません。
ユーザーがうまくいくように働きかける
戦略的にプロンプトを構成する。
VUIのセリフは、システム側が求める返答を引き出せるよう、効果的に組み立ててください。人間とコンピューターは、それぞれ異なる方法でコミュニケーションをとります。会話デザイナーは、この2つのギャップを埋め、人間がコンピューターに無理に合わせずに済むような体験を作り出すために存在するのです。
例えば、ユーザーが「代用食材アシスタント」に牛乳を切らしていると伝えたとします。VUIは、「OK、あなたは牛乳の代用品を探しているのですね。これは調理済みの料理、焼いた料理、またはそのまま召し上がる料理ですか?」とさらに詳しく尋ねて、ユーザーは「はい」と答えたとします。ではこの場合、ユーザーはどれに対して「はい」と答えたのでしょうか?
明快でありながら、会話的であること。ユーザーにどのように返答すべきかをVUIに指示させましょう。次のような表現を試してみてください。「OK、あなたは牛乳の代用品を探しているのですね。これはどのような料理ですか?調理済み、焼いたもの、それともそのまま、どれですか?」
会話のための目印
ユーザーを方向づける言葉やフレーズを散りばめましょう。
「始める」「次へ」などの時間軸に沿った表現は、所要時間やその後のステップについてユーザーの期待値を定めるのに役立ちます。また、「わかりました」「そうですよね」などのあいづちを打つことで、ユーザーは自分が理解されたのだと実感できます。
グラフィックユーザーインターフェイス(GUI)のプログレスバーのような視覚的な合図と同じように、会話の目印は、ユーザーが何を終え、今どこにいて、次に何が起こるかを感じさせることができます。さらに、この目印は、会話をより理解しやすいまとまりに区切るのに役立ちます。
最も大切な情報は、最後に残す
音声体験では、ユーザーに大切な情報を覚えておいてもらいたい場合、その情報を文頭に置かず、最後に残すようにします。
情報の優先順位は、視覚的なプラットフォームと音声的なプラットフォームでは異なります。これは、ユーザーが情報を聞いたときと読んだときとでは、その消化方法が異なるためです。GUIのデザインでは、「大事なことはすべて最初に」というのが鉄則ですが、音声のデザインではその逆です。
ブレット・キンセラは、彼のポッドキャスト「The Voicebot Podcast」の中で、Babylonの会話デザイナー、ベン・ザウアーと、音声デザイナーが配慮せばならない要素として、ユーザーの記憶について話しています。「もし、文頭で覚えていてほしい情報を言っても、文末では忘れてしまう」とサウアーは説明します。
キンセラは、ジャーナリストのVUIへのシフトについて発言しています。「ラジオ局の人たちは、いつも要点は最後に言うべきものだと知っていました」しかし、紙媒体やテレビのジャーナリストにとって、このベストプラクティスを取り入れるには、もっと踏み込んだ学習が必要だったのです。
以上が、画面から音声へとシフトするライターへのアドバイスですが、あなたはどう思いますか?GoogleやAmazonでスキルをデザインして、会話のデザインを試してみてください。