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ライターからコンテンツデザイナーにキャリアアップする方法

Mar 02, 2022

この記事はDropbox designのブログ: How to make the jump from writer to content designerの翻訳転載です。著者エマ・シュミットさんの許可を得て公開しています。

ライターからコンテンツデザイナーへの転身は、掴みどころがないように見えて、実はごく自然な流れ。では、なぜこのキャリアパスは難しいのか?

現在、一層加速が進むデジタルファーストな市場に対応するため、また、パンデミックのなかでとりわけ、熟練ライターの役割が大きくシフトしています。このため、ライティングからコンテンツデザイン(UXライティングやコンテンツ戦略とも)の分野へキャリアアップするなら、今が絶好のタイミングと言えます。実際、コンテンツデザインの人材を調達するのに、必要なツールを築き上げてきたライター以上にこの分野に適した職業はありません。

ですが、面接の段階になった途端、相手の求めているものと自分がやってきたことの間に食い違いがあるように感じてしまう。これは腹立たしいことです。

しかも、既存のロードマップはありません。そこで、私がデザインに興味を持ち始めた頃に読んでおきたかった記事を書くことにしました。

今回は、私がやってみて最終的にDropboxで仕事を得るに至ったことを、応援のメッセージを込めて紹介します。

一番やるべきでないのは、自分で自分には資格がないと決めてしまうことです。私たちの多く、特に、私たち女性は、どこかの時点で自分がその仕事に適していない理由のストーリーを作り上げたことがあります。

ですが、誰だって、その仕事に適している振りをすることで、いずれ本当にそれができるようになるものなのです。誰にも、特に自分自身に、私にはできないと言わせないようにしましょう。採用が見送られるのは、あなたの価値を示すものではありません。優秀な候補者が、本人も知らないような理由(社内異動、募集の終了、タイミングが悪いなど)で不採用になることはよくあります。あなたには好きな仕事をする価値があるのだから、諦めないでください。

Figmaを使えるようになる

どの分野にいて、どの職種に応募するつもりでも、自分の作品をよく見せることは、自動的にランクアップを意味します。

 また、コンテンツデザインの場合、モックアップを作成することで、ビジュアルヒエラルキーの基本をどれくらい理解しているかや、どれほどデザインに精通しているかを見せ、全体像を示すことができます。

自分の視点を持つ

これは必須です。

 デザイナーは、ある情報をアクションバーに固定すべきか、ワッフルメニューの中にネストすべきかを尋ねてくるでしょうし、リサーチャーはどの順番でコピーをテストすべきかを尋ねるでしょう。エンジニアはバックエンドの制約について決定を求め、プロダクトマネージャーは機能の名前をより市場にふさわしいものに変更するよう求めてきます。

どれも従来のライティングではなかったことですが、ユーザーの立場に立ち、そのニーズを先取りする視点を開拓するコンテンツデザインでは、これらすべてが仕事のうちです。

こうしたことが恐ろしく思えても、心配はありません。あなたにはそのスキルがあります。それは、ユーザーの実状を常に正確に把握し、まとまりのあるストーリーを作り、アイデアを抽出し、コンセプトに名前を付けることに他なりません。そしてこれは、すべて、あなたがライターとしてやってきたことです。

何もかも記録し始める

採用担当者は、あなたが何を送り出してきたかと同じくらい、どのように考えたかを知りたがっています。コピー ドキュメントに記入しましょう。

私はすべてを記録しています。1語からなるラベルのような一見シンプルなものでさえ、完璧なコピーが見つかるまで検討する必要があります。また、このドキュメントには、エンジニアチームへのメモ、プロダクトチームへの質問、自分がデザインに求めるものなど、さまざまなことを書き込んでいます。

 これらのドキュメントがあれば:

  • パートナーに私の思考プロセスを説明できます
  • 他の選択肢を選ばなかった理由を簡単に示せます
  • すべての決断にどれだけの時間がかかり、どれほどの配慮がなされているかを示せます

 ポートフォリオの各々のサンプルには、意思決定の様子を簡潔に示すセクションを入れておきましょう。

 プロダクトを選び、書き直してみる

最も良い方法のひとつに、既存のアプリを取り上げ、それを使いやすくするというのがあります。コンテンツデザイナーのジェニー・タンは、雇ってほしい企業のプロダクトで試してみることを提案していますが、私も全面的に賛成です。

 その会社のブランドボイスを知り、情報アーキテクチャ、ボタン、エラーメッセージ、オンボーディングフロー、メール、プッシュ通知、プロダクト名などを見てみましょう。そして、その改良バージョンをデザインします。

 フリーランスの仕事をする

フリーランスの仕事は、実際に私がDropboxの仕事を得た方法です。私は、Moneytreeという、大家が屋根付きの太陽光発電を入居者に販売できるようにし、よりクリーンで安価なエネルギーへのアクセスを民主化することを目指している会社のためにライティングを行ないました。

フリーランスの仕事は、臨時収入になるだけでなく、仕事を厳選できるので、自分のポートフォリオで足りない部分を埋めるのに注力できます。

 念のため、たとえ駆け出しの頃であっても、決してタダ働きはしないように。露出は通貨ではありません。

読む

キネレット・イフラの「Microcopy: The Complete Guide(邦題『UXライティングの教科書 - ユーザーの心をひきつけるマイクロコピーの書き方』」は私が最初に読んだ本ですが、世の中にはたくさんの素晴らしい資料があります。ジョン・サイトウも素晴らしいです。Googleで検索するだけでも、素晴らしい結果が得られます。

“コピーライティングでは派手な見出しや気の利いた言い回しをめざし、コンテンツデザインはまったく気付かれないことをめざす”

 読み手に考えさせない

コピーライティングが派手な見出しや気の利いた言い回しをめざすのに対して、コンテンツデザインは全く気付かれないことが重要です。あなたのコピーでめざすのは、ユーザーがよく考えなくても「こうしたい」という意図を解決できるよう、導くことです。言うなれば、シンプルで、温かみがあり、対話的であり、ロボットみたいではないコピーです。

 404ページやエンプティステート、プレースホルダーなど、あなたの創造性が発揮される時もあるでしょうが、ほとんどの場合、文章は平易で日常的な言葉であるべきです。

 ただし間違ってはならないのが、シンプルな言葉を考えるのは簡単ではないということです。スペースが小さければ小さいほど、使える言葉も少なくなり、書くのが難しくなります。気に入っている言い回しをボツにするのを恐れてはいけません。

好きなプロダクトに探りを入れる

Dropboxのアプリを使っていると、写真をカメラアップロードと呼んでいることに気がつくと思います。ですが、この名前に至るまでに、何時間にもおよぶ議論と部門横断的な検討が重ねられたことは知られていません。

それは、アプリとdropbox.comのすべてのコピーにも言えることです。目にする言葉のひとつひとつは熟考の結果生まれたものであり、目的があります。

 そこで、あなたも次のことに挑戦してみてください:

 なぜ、モバイル フォトアルバムやマイ フォト ギャラリーのような名前を選ばなかったのか、理由を考えてみましょう。そして、他のプロダクトにも目を向けてみてください。Appleは「写真」を、Samsungは「フォトギャラリー」を使っています。Googleは、「Google フォト」を使用しています。次に「カメラアップロード」に戻り、なぜこれが、この機能にとって最適な名前であったかを考えてみてください。

 これは引っかけ問題ではありません。他の名前に目立った間違いや明らかに不適切なところはありません。そこをあえて、カメラアップロードが最善であることを説明する理屈を考えてみてください。これで、コンテンツデザイナーの視点に立つことができます。

テクノロジーを有利に活用する

憧れている仕事がありますか?LinkedInで検索してみてください。採用担当者や、すでにチームに所属している人を見つけて、連絡を取ってみてください。

私は何度もやっていますが、効果はあります。

 直接メッセージを送るのは迷惑?そうかもしれません。でも、私たちは皆、礎となった偉大な先人たちの上に立っています。そして、9割の人はその恩返しをしたいと思っています。

この自ら働きかける機会を利用して、3〜4文で簡潔に熱意を伝え、その職務について具体的な質問をしてください。

実際の社員に声をかけることで、他の応募者と差をつけられる可能性がありますし、少なくとも、メンターを見つけるための扉が開きます。

終わりに

コンテンツデザイナーになるための第一歩は、仕事を手に入れることです。まだフルタイムの経験がないからといって、募集されている職に自分はふさわしくないと思わないでください。私のアドバイスを参考に、素晴らしいポートフォリオを作成し、求人に応募してください。コンテンツデザイナーを採用する企業の数は、日に日に増えています。誰でも最初は、一歩踏み出してみるしかないのです。

Photos:Paula Codoñer
翻訳:Kanako Noda 



執筆者プロフィール:エマ・シュミット(Emma Schmidt


エマ・シュミットは、Dropboxのシニア コンテンツデザイナーです。コピーライター、UXライターのバックグラウンドを持ち、言葉は最も強力なツールであると信じています。

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