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コンテンツデザインのフィードバックで影響力を持つ方法

インパクトのあるコンテンツデザインのフィードバック方法

翻訳記事 Feb 23, 2022

この記事はUX Content Collectiveのブログ: How to give impactful content design feedbackの翻訳転載です。著者テイラー・ローウェダーさんの許可を得て公開しています。

組織内でのコンテンツ・デザインの認知度は、どうすれば高められるのでしょうか?

あなたが私と同じコンテンツデザイナー、コンテンツストラテジスト、UXライターであれば、この問いが、私たちのコミュニティで常に繰り返されていることにお気づきでしょう。私たちは皆、人々にコンテンツデザインについてワクワクしてもらえるように、そして、自分達がチームのプロセスの中にもっとしっかりと組み込まれるように、一生懸命がんばっています。

コンテンツデザインの世界に入ったばかりの私には、まだその答えが見つかっていません。この数ヶ月、私は予定していたより早く数々のプロジェクトに参加し、まだ出来立てのスタイルガイドを褒め称え、デザインロードマップに参加し、プレゼンを計画し、その他にも、コンテンツデザインの席を確保するため(とは必ずしも言えない)無数の試みを密かに行なってきました。

ですが、すべての作戦の中で際立って効果があったのが、フィードバックでした。そこから私は、コンテンツデザイナーがより早い段階で戦略的な仕事に携わるために最も重要なのは、おそらく、このフィードバックのスキルだという結論に達しました。

なぜ、コンテンツデザインの視点からのフィードバックがこれほど重要なのか?

この急成長中の分野では、何よりも社内の声が重要です。嘘ではありません。プロダクトやUXデザインとコンテンツデザインが1対1の割合で存在する組織というのは稀です。そのため、コンテンツデザイナーは、複数のグループに片足をつっこみつつ、最終段階でデザインに引き込まれ、コンテンツについて表面的なレビューや微調整を行なうことになります。多くの場合、人々はこれを私たちの仕事のごく一部としてではなく、仕事の全体として捉えています。

そこで登場するのが、フィードバックです。デザインのアイデア出しの段階や、もっと早い段階、たとえばプロセスのスコープ設定の段階は、コンテンツの目的について戦略的な話を進めるチャンスです。より早い段階でコンテンツが考慮されないと、戦略的あるいは構造的な問題に対して表面的な応急処置をすることになりかねません。このような初期段階でのフィードバック、または後期の段階で行なう戦略的なフィードバックは、実務を前進させるための素晴らしいツールになりえます。

まだ生まれたばかりのコンテンツデザインチームを代表してフィードバックするのは恐れ多いと感じるかもしれません。ですが、フィードバックが上手にできるようになれば、小さなチームが、一石二鳥どころか、多くの鳥を捕らえる助けとなります。そして、プロダクトの使い勝手を向上し、組織の目標達成に貢献することができるのです。

"より早い段階でコンテンツが考慮されないと、戦略的あるいは構造的な問題に対して表面的な応急処置をすることになりかねない"

コンテンツデザインのフィードバックの優れたスキルがあれば、以下のことも可能です:

  • コンテンツデザインの重要性を強調し、コンテンツデザインが組織内で成長できる。
  • 使えるコンテンツとは、単に文法的に正しく、簡潔であるだけでなく、次のようなものであると、他の人にわかってもらいやすくなる:
    • ビジネスやユーザーのニーズに沿っており、はっきりとした、合意済みの目標のためにあるもの。
    • ユーザーにとって適切なタイミングで、適切な媒体を通して提供されるもの。
    • アクセシビリティのニーズや人々がコンテンツを消費している媒体に基づいて、すべてのユーザーにとって消化しやすく理解しやすい方法で作り上げられるもの。


では、コンテンツデザイナーは、こうした素晴らしいことを実現するツールとして、フィードバックをどのように使えばよいのでしょうか?

適切な質問をする

時として、単に質問をすることが、フィードバックになることがあります。なぜでしょうか?それは、人々が、コンテンツデザインを文法や句読点、ブランドボイス、言葉の選択といった表面的な要素だけのものと混同しがちだからです。こうしたフィードバックが、あなたが最も求められることの多いフィードバックではないでしょうか。

これらの要素も確かに重要ですが、ストーリーの一部でしかなく、戦略的・構造的な問題が存在する場合、ユーザビリティの向上に向けて必ずしも大きく舵を切ることはできません。

もちろん、表面的なものにすぎないフィードバックを避けられるかどうかは、デザインプロセスのどの段階でフィードバックを行なうかで決まります。プロセスの初期段階に参加できる機会があるならば、コンテンツの背後にある戦略や、それを支える構造的な選択を明らかにするような質問をすることを目指しましょう。

HubSpotのベス・ダンは、コンテンツデザインを「表面」「構造」「戦略」の3つのレベルに分類しています。Buttonのカンファレンスでの講演「コンテンツデザインをあらゆる場所で育てる:どうすればどんな組織でもコンテンツデザインの実践を広められるか」の中で指摘したように、たとえコンテンツデザインのプロセスの最終局面で表面レベルでのフィードバックを求められても、適切な質問をすれば、将来のプロジェクトの早い段階で戦略や構造にどのような影響を与えられるかを示すチャンスになりえます。このようにして、コンテンツデザインのより深いレベルに光を当て、コンテンツに対する新しい考え方への扉が開けるのです。

戦略に関する質問

  • この体験がめざすビジネス上のゴールは何?ユーザーのゴールは?
    • ユーザーのゴールやビジネスのゴールの達成の邪魔になっているコンテンツはありませんか?
  • この体験の中で伝えたい最も重要なメッセージは何?
    • 情報のヒエラルキーはそれらのメッセージを支持するものになっていますか?
  • ユーザーに対してどんな想定をしている?
    • その想定はどうすれば検証できますか?
  • 「X」の概念についてのメンタルモデルがユーザーにあるのかどうか、わかっている?
    • そのメンタルモデルは、私たちのコンテンツにどのような影響を与えるでしょうか?
    • 私たちのコンテンツは、そのメンタルモデルに沿うものですか?
  • 私たちがユーザーに求めているアクションは、ユーザーのニーズに応えるもの?それとも技術的な必要に迫られて?
    • 技術的な必要に迫られている場合、それをユーザーに見せる必要はありますか?

構造に関する質問

  • このメッセージを伝える媒体は、どうやって決まった?
    • これは、情報の消費の仕方や体験への関わり方として、ユーザーにとって好ましい方法ですか?
    • 他の媒体を試してみる機会はありますか?
  • このコンテンツをデザインする際、どのような認知面でのアクセシビリティについて配慮した?認知面でのアクセシビリティでは、睡眠不足のユーザー、記憶障害のあるユーザー、集中力のないユーザーなどに配慮することができます。
    • 追加情報を提供すれば、ある種のユーザーがタスクを完了するのに役立ちそうでしょうか?(例: どれくらい時間がかかりますか、何を用意すればよいですか、どれくらいの手順がかかりますか)
  • このタイミングでこの情報をユーザーに伝えるのが理想的である理由は?
    • このフローの中に、タスクを完了するのに重要でない情報はありませんか?そのような情報がある場合、その情報がないせいで起こる障害の可能性よりも、ある利点が勝っていますか?


表面に関する質問

  • 組織として、「X」という言葉をどのように定義している?
    • その定義はユーザーにとって明確ですか?
    • この用語は、ユーザーに別の名前で知られていませんか?
  • カスタマージャーニーにおけるユーザーの状況に応じて、ユーザーの感情的ニーズを満たすために、私たちはどうトーンを変化させている?
  • このコンテンツの読みやすさに点数をつけると?
    • 読みやすさを向上させる余地はありませんか?

フィードバックの枠組みを正しく設定する

コンテンツデザイナーにとって、適切な方法でフィードバックすることは、特に重要です。他の専門分野とは異なり、おそらくあなたの組織でも、文章を書くことは普遍的なスキルです。ですが、コンテンツデザインは違います。言葉に対してフィードバックするとき、単純に、自分で書き直したくなるものです。でもそれができるからといって、そうすべきとは限りません。

フィードバックの枠組みが正しく設定されていないと、判断のための明確な仮説や戦略もなく、コンテンツの選択の有効性を検証することもなく、一握りの人たちがコピーを書き換えるだけのものになりかねません。自分にとって必要な、具体的なフィードバックを求めること、そしてフィードバックを提供する際には組織の他の人に向けて、戦略的にフィードバックの枠組みを作ることが重要です。そうすることで、戦略的で有用なコンテンツのフィードバックを提供し、受け取る前例ができるのです。

解決策ではなく、チャンスを伝える

フィードバックを求めるコピーの文書を回覧したことがある人なら、何の説明もなく書き直しを提案するコメントを受け取ると、どれほどフラストレーションが溜まるか、わかるでしょう。解決策に飛びつくと、フィードバックの背後にある重要な「なぜ」の部分を忘れてしまい、表面的なフィードバックに終始してしまう可能性があります。本当の問題は、戦略的または構造的なものかもしれないのに、重箱の隅を突くように言葉の選択をチェックして時間を浪費しかねません。

手本となり、常に明確な視点を示すことを目指しましょう。単にコピーを書き換えるのではなく、そこにどんなチャンスがあるのかを伝え、広い視点からユーザーとの対話に焦点を当てた質問をすることを、習慣にしましょう。なかなか難しいことではありますが、これによって、あなたの考えを他の人に理解してもらい、同じ理屈に基づいて、意思決定してもらいやすくなります。また、コンテンツデザイナーがどのように仕事をするのか、その内幕を見せられるので、今後、他の人があなたと共同作業しやすくなります。フィードバックの形として、他の人があなたのコピーを書き直した場合は、それを質問するチャンスとして利用しましょう。どのようにしてその答えにたどり着いたのか、どのような問題を解決したかったのかなどを質問し、あなたのプロセスを示しましょう。

できる限り客観的に

主観的なフィードバックは、進歩の大きな妨げになることがあるので、可能な限り、事実に忠実でありたいものです。過去のユーザー調査、ベストプラクティス、一般的なコンテンツのパターンなどを参照し、フィードバックの裏付けをしましょう。「この言葉はあまり好きではないので、他の言葉に置き換えられないか」といった主観的な意見ではなく、「この言葉はユーザーに響くかな。検証してみたらどうだろう」といった、論拠の核心に迫るようなフィードバックの枠組みを設定しなおしてみてください。主観的なフィードバックを受けた場合は、その機会を利用してプロセスを説明し、根拠となるリサーチを紹介しましょう。関係者には、決定する前にもっと調査したり、理論を検証したりする必要があることを伝えましょう。自分ならそれをどのように実行するか説明するのです。



言葉の魔術師にならない

コンテンツやライターの肩書きを持っていて面白いのが、人から言葉の魔術師だと思われることです。まるで魔法のように、言葉の選択や、配置、メッセージの中身について、リサーチなしで最適な答えを持っているかのように思われます。

こうした期待のせいで、時として、最後の最後にプロジェクトに仕上げの魔法をかけるために投入されることになります。しかし、徹底的なリサーチなくして、常に「正解」を知るのは不可能です。

戦略的にフィードバックすることで、この思い込みに異議を申し立てましょう。手の内を見せ、魔法のように答えを持っているわけではないのだと認めましょう。答えを見つけるためにどんな作業が必要なのかを共有し、時間がない場合は、最も妥当と思われる推測を提示しているのだと、はっきり伝えましょう。

好奇心のレンズを通してフィードバックする

私は、デザインチームのフィードバックセッションに同席して、この方法について知り、とても役に立つことを学びました。指示を出す代わりに、質問を投げかけ、好奇心のレンズを通してフィードバックを行ないます。そうすることで、フィードバックを受ける側には解決策は自分のものであるという意識を持たせたまま、彼らが考えもしなかったような視点を明らかにすることができます。

そこで、「ユーザーはこのステップを完了するには、この情報を知りたいと思うでしょう」と言うのではなく、「この情報をここに入れれば、ユーザーは迷わずにこのステップを完了できるんじゃないかな」と伝えてみてください。

翻訳:Kanako Noda



執筆者プロフィール:テイラー・ローウェダー(Taylor Rohwedder


テイラー・ローウェダーは、メンタルヘルスケアサービスAbleToのコンテンツデザイナーです。ブランドボイスを明確にし、オーディエンスに適切なタイミングで語りかけ、ブランドを前進させる強力なコンテンツを提供しています。

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