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読むのが嫌いなライターが語る言葉のデザイン方法

読むのが嫌いなライターが語る言葉のデザイン方法

翻訳記事 Feb 16, 2022

この記事はMediumのブログ: How to design words from a writer who hates to readの翻訳転載です。著者ジョン・サイトウさんの許可を得て公開しています。

厳密に言うと、私はライターです。言葉を書くことでお金をもらっています。しかし、多くの人が私について知らないことがあります。私は読むのが嫌いです。

誤解しないでほしいのですが、私は今でも本をよく読みます。本やブログ、ニュースフィードや雑誌を読み漁ります。しかし、書き手の言葉が長ったらしくなると、私のまぶたは重くなり、飽き飽きしてきます。


そこには言葉の壁しか見えません

子供の頃、私は読書嫌いを弱点だと思っていました。しかし、この弱点が、よりよいライターになるために役立っていると気づいたのは、何年も後のことです。

私は主に、アプリやウェブサイトのインターフェースのテキストを書いています。これは、簡潔さがきらびやかさに勝り、すべての文字が重要となるライティングスタイルです。インターフェースのテキストを書くことは、実はデザインに似ています。「読むのが苦手な人のために言葉をデザインする」ということです。

人はあなたのインターフェースを読んでいない

数多くの研究により、人々がウェブ上で読まないことが明らかになっています。アプリやゲームなど、あなたが接するあらゆる画面も同様です。ほとんどの人は、ただ目を通し、あちこちの単語を拾っています。


驚くほど多くの人が "次へ"をタップします

人は怠け者?無頓着?それとも、ただ単に読むのが嫌いなのでしょうか?どんな理論を基にしても、結果はいつも同じです。あなたがどんなに素晴らしい言葉を並べても、人々はほとんどインターフェースを読みません。

だからこそ、ただ言葉を書いてデザインに貼り付けるだけではいけません。言葉を書いているうちに、デザインを変更する必要に駆られるかもしれません。アクションを一言で説明できない場合には、デザインが複雑になりすぎている可能性があります。

別の言い方をすれば、ロレムイプサム(ダミーテキスト)でデザインするべきではありません。あなたは言葉でデザインすべきなのです。

言葉でデザインするための7つのヒント

私はインターフェースライターとして、言葉を少しでも読みやすくするためのいくつかのポイントを学んできました。これらのヒントが、あなたが言葉を書いたりデザインしたりするときに役立つことを願っています。


1. 文字数を減らす

読みやすくするために最も重要なことは、テキストを短くすることです。初稿を書いたら、何度も何度も削ってみましょう。細かい部分を省いたり、シンプルな言葉を使ったり、要点だけをまとめたり。容赦なくいきましょう。


文章が短いほど、読まれる可能性が高くなります


ライターとして、アイデアを膨らませたり、書くための筋肉を鍛えたりしたい気持ちはわかりますが、インターフェースはそれに適した場所ではありません。それにはMediumが適しています😀

2. 見出しをつける
場合によってはテキストをこれ以上を短くできないこともあるでしょう。そんなときは、文章を一言でまとめた見出しを付けてみてください。ユーザーが探しそうなキーワードを使うのです。もっと知りたいと思えば、いつでも読み進められます。

 

見出しをつけると、コンテンツはより見やすくなります


3. リスト化する

ウェブページを見るとき、私たちの目は上下にスキャンする傾向があります。そのため、パラグラフよりもリストの方が読みやすいのです。

もし、文章の中で「そして」や「また」などの言葉を何度も使っていることに気付いたら、そのパラグラフをリスト化してみましょう。


私はリストを作るのが好きです


4. 休ませる

Mediumのように、もともとコンテンツ量の多いプロダクトもありますが、それは悪いことではありません。しかし、ひとつのパラグラフから別のパラグラフと読んでいくのは大変なことです。

たくさんのコンテンツを書く必要があるときは、改行や画像、見出し、例文など、言葉の壁を壊すような視覚的な工夫を多用しています。そうすることで、読み手はひと呼吸おいて、必要に応じて、考えたり、読み飛ばしたりできます。

例えば、私のMediumの記事では、段落を数行に抑え、視覚的に分かりやすい表現を多く取り入れています。

視覚的な工夫をちりばめる


5. 言葉の優先順位を決める

ライターの中には、言葉選びを重視し過ぎる人がいます。確かに言葉選びは重要ですが、私はその言葉の見せ方も同じくらいに重要だと考えています。

言葉をデザインする際には、画面上で最も重要な言葉をいかに優先させるか、重要でない言葉の強調度をいかに下げるかを考えます。デザインでは、これを「視覚的階層」と呼んでいます。

文字の太さ、大きさ、色、コントラスト、タイポグラフィ、大文字、間隔、近接性、配置、動きなど、これらはすべて、人々があなたの言葉を読むかどうかに影響します。適切なバランスを見つけるまで、それぞれの特性を強めたり、弱めたりしてみてください。


どちらが読みやすい?


6. 少しずつ見せる

ユーザーに何かを教えようとするとき、1つの画面内にすべての情報を表示して、ユーザーに理解してもらいたいと思いがちです。しかし、テキストが数行以上になると、多くの人は読んでくれないでしょう。では、どうすればいいのでしょうか?

ユーザーに少しずつ情報を見せることができます。教科書的には「プログレッシブディスクロージャー(段階的開示)」と呼ばれますが、私は「スロー・ジャーニー」と呼んでいます(よりドラマチックに聞こえますよね?)。情報を小さなチャンクに分割して、段階的に開示してみてください。


文字数が多すぎる?少しずつ表示させてみてください


もうひとつの方法は、詳細情報を削除して、ヘルプドキュメントにリンクさせることです。多くのプロダクトでは、「詳しくはこちら」というリンクを設けています。これらのリンクをクリックすると、詳しい情報が書かれたヘルプページに移動します。

7. ドキュメントではなくモックで書く

紙面上ではいい感じに書けていたのに、本番用に書いてみたら冗長になってしまった経験はありませんか?Google DocsやDropbox Paperなどのライティングアプリで文章を書いていると、そうなってしまうのです。

インターフェース向けに言葉を書く場合、全体の文脈を理解することがとても重要です。自分の書いた言葉が、周りのものと比べてどう見えるかを知る必要があります。

そのため、私はドキュメントではなく、Sketchのモックで書くことを好んでいます。モックに書くことで、自分の言葉が文脈の中でどのように見えるかを確認でき、文章を書く際の判断材料になるからです。


最後に一言

言葉は私たちの世界に意味を与えてくれます。そして、私たちを取り巻く世界の意味を理解するのを助けてくれます。しかし、悲しいことに、多くの人は読むのが好きではありません。もしあなたが私のように言葉を扱う仕事をしているなら、私たちのゴールは、できるだけ簡単に読めるようにすることです。誰もが身の回りの世界を理解できるように。

これらの秘訣は、私が言葉をデザインするときに心がけているほんの一部です。あなたも何か秘訣をご存じですか?アイデア、エピソード、コメントをぜひお聞かせください。

そして、読むのが嫌いな皆さん、読んでくれてありがとう。

イラスト:Brandon Land


執筆者プロフィール:ジョン・サイトウ(John Saito

ジョン・サイトウはテック業界で15年の経験を持つプロダクトデザイナー。デザイン、ライティング、プロジェクトマネジメントの経験を持つ、多才なチームプレーヤーです。何百万人もの人々に利用されるエクスペリエンスを創造しています。

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