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世界中のUXライターから寄せられたFAQ

世界中のUXライターから寄せられたFAQ

翻訳記事 Jun 16, 2021

この記事はMediumブログ: FAQs from UX writers around the worldの翻訳転載です。著者のヤエル・ベン・デイヴィッドさんの許可を得て公開しています。

私はこれまで、世界中のUXライティングコミュニティで講演してきました。最も興味深く、刺激的なことのひとつは、そのコミュニティならではのユニークな課題について知ることです。

しかし最近、私が考えさせられたのは、その共通点でした。サンフランシスコ、テルアビブ、ローザンヌ、ポルトガル、そして国際的なカンファレンスにおいても、同じ質問が何度も出てきます。


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以前、トーリー・ポドマジェルスキーが出演したポッドキャストを聞いたことがあります。彼女はUXライターのカンファレンスのランチの席で、ライターたちが自分のチームが解決した課題について話すのを聞いて、『Strategic Writing for UX』という本を書く気になったと言っていました。

なぜ私たちは皆、車輪の再発明をしているのでしょう?誰かが解決策を書き残しておかなければなりません。知識をシェアすることで、私たちは前進できます。というわけで、今回は、私が何度も聞かれる質問をいくつかご紹介します。

UXコピーの成功をどのように測りますか?

まず、「成功」を定義します。あなたは何に対して答えを出そうとしていますか?どの指標を追えば、その答えを出すのに役立つでしょう?計測ツールが揃っている部分だけを測定したり、カッコいいからという理由でクリック率をA/Bテストするのではありません。まず、具体的なゴールは何か、そのゴールをどのように達成するかを考える必要があります。

たとえば、「成功=売り上げアップ」なのであれば、単に購入だけを測定するのではなく、それぞれの購入も測定する必要があります。あなたが書いたコピーによってどちらかが増えても、もう一方が増えないこともあります。購入数と購入額のどちらか一方だけを増やすことが重要な場合もあるでしょう。

たとえば、電子契約書へのサインが成功の指標であれば、契約締結までのスピードだけを測定するのではありません。あまりにもスムーズすぎて「契約内容を十分に理解せずにサインしてしまった」という、カスタマーサポートへの不満にも目を向ける必要があります。

離脱率を下げたり、サイン完了までの時間を短縮することは、一見わかりやすい指標のように見えます。しかし、ユーザー体験を高めるために、あえて「摩擦を起こす」ことがあるのは、それなりの理由があるのです。契約書にサインする前にきちんと条件を理解してもらうことはその一つです。

つまり、「成功をどのように評価するか」という問いへの答えは、ひとつではありません。成功の尺度はあなたが何を書いているかで変わります。達成度を測定できる指標を選ぶことが大切ですが、すぐにパッと見つけられるとは限りません。

ステークホルダーの賛同を得るには? 

いつもと同じように、ターゲットオーディエンスをよく知ることです。何がステークホルダーを突き動かすのか?もしそれが「お金」なのであれば、私はUXライティングのROI (費用対効果)に関するコンテンツを数多くシェアしているので、それを参考にしてみてください。

ステークホルダーが何を気にしているかがわかったら、そのトピックを交えながらUXライティングについて話してみましょう。UXライティングの話を永遠と聞いていられる人はいないので、心に響くポイントに絞って話してみてください。

また、プロジェクトの初期段階からステークホルダーを巻き込むことも大切です。UXライターはよく「テーブルの席を確保する」と言いますが、ステークホルダーをミーティングの場に招待してみてください。

彼らが自分の仕事に抵抗を示すことはほとんどありません。はじめから協力し合いましょう。デザイナーやプロダクトマネージャーと一緒に、ペアになってコピーをいくつか書いてみるのもいいでしょう。ひとたび彼らが「コピーに自分も関わっている」と感じるようになれば、もうなんら問題はありません。ステークホルダーは、あなたの仕事を「承認」するのではなく、ただ「自分の仕事をチェックしている」だけだからです。

ステークホルダーが、あなたの仕事の流れを理解し、専門性を評価してくれるようになるまで、ほんの数回しかかかりません。また、彼らが当事者意識を感じるようになることで、あなたのアイデアに対し「批評モード」になるのではなく「自分のアイデアに満足する」ようになってくれます。

マーケティング部門との連携はどうですか?

どのコンテンツの責任をマーケティング担当者が負うのか、どのコンテンツの責任をUXライターが負うのか、多くの企業がそのオーナーシップに悩んでいます。スムーズな連携を実現するには、まずエゴを捨てることです。プロジェクトを抱えること自体が目的になっては本末転倒です。両方の部門には「素晴らしいカスタマーエクスペリエンスを提供する」という共通のゴールがあります。同じチームに所属しているのですから。

次のような質問をしてみてください:誰の専門知識がこのプロジェクトに最も役立ちそうか?そのコンテンツのビジネスゴールは何か、それに最も合致するのはどのチームの権限か。このコンテンツの前後のタッチポイントは誰が書いているのか?時には、この仕事に取りかかれる余裕があるのは誰か、誰がユーザーのセグメントやマーケティングファネルの段階に精通しているか、ということが問題になるかもしれません。

これらをすべて確認してもなお、誰がそのタスクを担当すべきかがわからない場合は、共同で担当することをおすすめします。ペアで書いたり、お互いにやり取りして、双方のライターがフィードバックを与え、最終バージョンに両者が署名します。

これは、マーケティング担当者とプロダクトライターの間の、緊張のほぐし方について話しているのではありませんが、「エンドユーザーに最高の体験を提供しようとしている」「会社の成功を目指している」という認識を持つことから始めると、物事がスムーズに進みます。

デザイナーがインターフェースに十分なスペースを与えてくれない場合、どうしますか?

デザインは「スペースを与える」ものではあってはいけません。私たちは、ロレム・イプサム(有名なダミーテキスト)を使っていた時代の先にいます!その構成要素のゴールについて一緒に話し合ってください。ここでは何を伝える必要があるのでしょうか?簡潔なコピーは、ユーザーが読んで理解してくれる可能性を高めるのか、それとも重要なメッセージを省いてしまい、ユーザーが読む前よりも混乱してしまうのか。

また、ユーザーインターフェースのライティングは、スペースの広さだけが重要なのではなく、コンテンツの構造やデザインも大切です。伝えるべきことをすべて書ける十分なスペースがあったとしても、すべて段落形式で書くのではなく、コンテンツの一部は箇条書きにしたほうがユーザーのためになる場合があります。ユーザーに伝えるべきことを伝えるためには、デザイナーと協力する必要があるのです。

一緒に仕事をするのはとても良いことです。もしあなたがUXライターでマーケティングライターと仕事しているなら、少なくともそのうちの何時間かはUXデザイナーと一緒に仕事をしてみてください。これが大きな違いを生むのです。



執筆者プロフィール:ヤエル・ベン・デイヴィッド (Yael Ben-David)

サンフランシスコを拠点とする金融サービスプラットフォームFundboxのUXライター。ヤエルは複雑なプロダクトを専門とし、革新的なテクノロジーを一般市場に届けることに情熱を注いでいます。チームとの密な連携をとりながら、マイクロコピーやトランザクションメールのライティング、ボイス&トーン、スタイルガイドの作成を行っています。
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