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7種類のエンプティステート画面とその活用方法

7種類のエンプティステート画面とその活用方法

翻訳記事 Jan 22, 2023

この記事はMediumのブログ: 7 types of empty states and how to use themの翻訳転載です。著者のキネレット・イフラさんの許可を得て公開しています。

エンプティステート画面は、エンプティ(=空っぽ)であるべきですよね?

では、なぜその書き方についてこの記事で2000ワードも費やすのでしょうか?

ひとつには、アプリやシステムがユーザーに見せるものが何もない場合でも、その旨を伝えなければならないからです。つまり、「データなし」と言ってそのまま帰らせるか、それとも何か特別なものを与えるかの問題なのです。

そして第二に、エンプティステートは、ユーザーにとって非常に価値のあるものだからです。

エンプティステートは、ユーザーを支援する>

  • アプリを立ち上げると同時に使い、その価値を得られる
  • どんなシステムでも、その使い方を理解できる
  • より多くのアクションを実行し、より多くのプロダクトの機能を利用できる - つまり、プロダクトを最大限に活用することができる
  • 目的をすばやく達成できる


何もないはずのスペースに、なぜこれが可能なのでしょうか。

ここでは、あなたがよく出会う7種類のエンプティステートと、行き止まりをオープンハイウェイに変える方法について見ていきましょう。これら7種類の違いはわずかなものですが、非常に重要です。

あなたのプロダクトにも、このような画面の状態がありませんか?

タイプ1:さあ、はじめよう

この画面に表示されるはずのアイテムを、ユーザーがまだ作成または収集していない状態(通常は初回利用時に表示されるが、継続利用時に表示される場合もある)。

この画面には、最終的にユーザーが作成したアイテムや収集したアイテムを表示することになります。

例:

  • あなたはまだウィッシュリストにアイテムを保存していません。
  • あなたはまだトラッキングする患者を追加していません。
  • あなたはまだシステムのサーバーを設定していません。
  • あなたはまだこのユーザーに何の権限も与えていません。
  • あなたはまだ買い物かごに何も追加していません。
  • あなたはまだビデオをアップロードしていません。
  • あなたはまだ表示するダッシュボードウィジェットを選択していません。
  • あなたはまだオートメーションを作成していません。
  • あなたはまだフォルダを作成していません。
  • あなたはまだ最初の投稿を作成していません。
  • あなたはまだアラートを設定していません。
  • あなたはまだお気に入りの場所をピン留めしていません。
  • あなたはまだアルバムを作成していません。
  • あなたはまだアセットマネジメントを設定していません。
  • あなたはまだ友人を招待していません。
  • あなたはまだクライアントを設定していません。
  • あなたはまだ最初のアンケートの質問を書いていません。

私たちは「まだ〇〇がありません」のような無意味な書き方はしません。では、どう書けば良いのでしょうか?

  1. 見出し - 画面の状態を説明し、ユーザーにまだ[やるべきこと]を始めていないことを知らせる。
    例:あなたはまだアラートを設定していません
    または: 最初のアラートを設定(する)
  2. 動機 - なぜこのアイテムを保存または作成する必要があるのか、それがどのように自分に役立つのか、または実際にそれを行う方法を伝える。
    例:アラートがあれば常に最新情報を得られるので、大事なことを見逃す心配がありません
  3. CTA - 最初のアイテムを作成するための目立つボタン、またはリンクテキストを提供する。
    例:アラートを作成(する)


別の例:

見出し:あなたはまだお気に入りリストに何も保存していません
動機:気になる本を保存して、あとで簡単に読めるようにするには、ハートのアイコンをクリックしましょう
ボタン:ベストセラーを探す


さらにいくつかの例を挙げてみましょう:


プロジェクトを作成し、整理しましょう!
プロジェクトは、ワークスペースの時間入力の仕分けの基礎となるものです(Toggl)


 プロジェクトコメントと一緒に、重要度の高い情報をここに整理しておきましょう(Todoist


これは少し異なりますが、繊細なポイントに触れ、ユーザーに行動を促すという原則は同じです。Sempliceはポートフォリオを作成するためのサービスです。


このメッセージは、面倒くさがり屋さんにだけ表示されます
[CTA]作成開始(Semplice

なぜこの画面が重要か

1.エンゲージメント

初回利用時は、ユーザーに直接アクションを起こしてもらうチャンスです。プロダクトの機能を伝えるだけでなく、実際に体験してもらいます。プロダクトの本当の価値を早く知ってもらえれば、継続して使ってもらえる可能性が高まります。

2.ユーザビリティ
ユーザーは使い始めたいけれども、具体的にどうしたらいいのかわからないことがあります。そんなとき、いくつかの言葉とボタンがあれば、正しい道筋を示すことができます。Win-Win です。

タイプ2:ここで待ってるよ

この画面に自動的に表示されるはずのデータが、まだ作成されていない状態。ユーザーが何らかの操作をしないと、データは入ってきません。

この画面のエリアは、ユーザーの活動によって自動的にデータが生成されることで、やがて表示されるようになります。このシナリオでは、ユーザーが自発的にアイテムを収集・作成するのではありません。ユーザーの活動の結果としてシステムがアイテムを作成・収集・提示することになります。

例:

[ユーザーが広告を作成していないため]、広告のクリックデータはまだ利用できません。
[ユーザーが保護すべきアセットを定義していないため]、脅威はまだ検出されていません。
[ユーザーがニュースレターを送信していないため]、利用可能な開封率データはまだありません。
[ユーザーがビデオをアップロードしていないため]、表示する視聴データがまだありません。
[ユーザーがまだシステムで活動していないため]、アクティビティログはまだ利用できません。
[ユーザーが分析用のテストをアップロードしていないため]、分析結果はまだ利用できません。
[ユーザーが何も販売していないため]、製品レビューはまだありません。

ではもし、単に「データがありません」と書きたくない場合には、何を書けばいいのでしょうか?

  1. 見出し - 現在のステートメントを説明し、表示するものがない(しかし、将来はある)ことを知らせる。
    例:まだ表示するログはありません
  2. 説明 - その機能がどのように動作するか、また必要に応じて、その動機や価値について説明する。
    例:ユーザーを招待し、権限を与えると、そのユーザーがシステムにどれくらいの頻度でログインし、どのようなアクションを行ったかを見ることができるようになります。
  3. CTA - 必要なアクションを実行させるための目立つボタンやリンク。
    例:ユーザーを招待(する)

そのほかの例:

見出し: あと残額はどれくらい?
説明:予算目標を設定することで、ご自身の財務状況を確認し、よりスマートなお金の管理を行うことができます
ボタン:最初の目標を設定(する)

さらに別の例:



予想 vs. 市場平均のパフォーマンス
現在、あなたにはアクティブなジョブがありません。ジョブをアクティブにして、ここでどのようなパフォーマンスを発揮できるかを確認してください。
[CTA]ジョブへ移動

なぜこの画面が重要か

  1. ユーザビリティ
    ユーザーが思い切って新しいデジタルプロダクトを使うとき、それがどのように機能するのか、どこに何があるのか、どのように組み合わされているのかをイメージしようとします。エンプティステートメントが自然に表示されれば、どのようなアクションが他のアクションを生み出すのか、また、すべてがどのように連動しているのかがわかりやすくなり、ユーザーはすぐに状況を把握できます。
  2. 価値提供
    このタイプのエンプティステートは、システムがユーザーのために何をするのか、どんな価値を提供するのかをユーザーに明確に伝えます。言い換えれば、あなたは自分の役割を果たし、私たちは重要なデータの抽出と提示を行う、ということです。

タイプ3:また戻って来てね

この画面に自動表示されるはずのデータが、まだ作成されていない状態。システムには時間が必要で、ユーザーはそれを早めることができない。

時折、ユーザーがシステムを動かすために必要なすべてを行ったものの、信頼できるデータを作成するためにさらに時間を要することがあります。これは主に、統計演算や性能演算を行ったり、パフォーマンス・データを収集したりするプロダクトで起こります。

例えば、有料キャンペーンの広告を出した場合、最初の24時間のデータは、広告がまだ十分に広い範囲や関連性のあるオーディエンスに届いていないため、信頼性の低いものになることが多いでしょう。この場合、「パフォーマンスデータはまだありません」というエンプティステートが生成されます。

別の例もあります:今月のデータを前月のデータと比較して表示するダッシュボードがあるとして、システムを使い始めたのが先週であれば、比較するデータがありません。

ではもし、「データがありません」と書きたくない場合、どう書けばいいでしょうか。

  1. 見出し - 状況を説明し、表示するデータがまだ何もないことを伝え、あとで戻ってくるように促す。
    例:パフォーマンスデータを見るには、もう少し経ってから戻ってきてください
  2. 説明 - その機能がどのように機能するか、また関連する場合は動機と価値について説明する。
    例:このシステムでは、信頼できるデータを十分に収集するために、少なくとも24時間必要です

このケースでは、ユーザーはシステムを急かすようなことはできないので、通常、CTAボタンは必要ありません。しかし、その間にユーザーができること、たとえば、広告を他の人にシェアして露出を増やすなどの方法があれば、CTAボタンを追加することができます。大切なのは、ユーザーの自発的な行動を助けるにはどうしたらよいかを考えることです。時には、それができず、ただユーザーは待つしかない場合もあります。それはそれでいいのです。

もうひとつの例:

見出し:まだ、比較するデータがありません
説明文:10日後に今月と前月の比較をお知らせします。これにより、あなたは進捗状況を把握し、行動を最適化できるようになります。

さらにもう2つ:


予想 vs. 市場平均のパフォーマンス
もうしばらくお待ちください
最適化した予想をお知らせするため、現在もデータを収集中です。これには公開から最大で7日かかる場合があります


転送状況を追跡
ここで、あなたに送られたすべての転送を確認できます。ストレージを使用することはありませんので、ご安心ください

なぜこの画面が重要か

  1. ユーザビリティ
    「データが利用できません」とだけ書かれたコピーでは、ユーザーは何もわからないままです。何か問題があるのだろうか、データを見るために何かできることはないのだろうか。もしそうでなければ、いつデータが利用できるようになるのだろうか?うまく書かれたエンプティステートは、これら未解決の問題をすべてクリアにしてくれます。
  2. 学習と価値提供
    よくできたエンプティステートメントは、ユーザーの疑問やフラストレーションを解消するだけでなく、ユーザーにシステムの仕組みを教え、コントロールの感覚を与え、その信頼性を強調することができます。

タイプ4:すべてが片付いた、その調子!

ユーザーは、リストからすべてのアイテムを削除または消去しています。なぜなら、それがそのプロダクトの仕組みだからです。

タスクリストのある生産性向上アプリの例を見てみましょう。

初回ログイン時には、ユーザーはまだタスクを作成または追加していないため、最初に述べたようなエンプティステートメントが表示されます(つまり、テキストには次のようなコピーが表示されます:あなたはまだリストにタスクを追加していません|あなたの一日を生産的にするため、達成したい重要なタスクを少なくとも3つ追加してください|CTA: 最初のタスクを追加)。

通常、ユーザーは次のことを行います:
>タスクを追加する。
>そして、完了したタスクを1つずつ削除していきます。
>そして、再びエンプティステートにたどり着きます。

ただ、今回のケースはまったく違います。

あなたはユーザーにこんな風に伝えることができます:

見出し:素晴らしい!すべてのタスクが完了しました。
説明文:パーティに出かけるか、もしあなたが絶好調なら 
[CTA] :新しいタスクを追加(する)

そのほかの例:

  • すでに処理したアラートのリスト
  • 既読または完全に仕分けされたメールボックス
  • 既読のドキュメントリスト。
  • すべて完了したトレーニングプログラム

…その他、対応が必要なものは何でも。

何を書けばいいでしょう?

このような場合、最初のエンプティステート画面に戻る代わりに、ユーザーがビジネスをうまくやり遂げたことを褒めればいいのです。ユーザーに追加のアクションを起こさせない限り、賞賛以外のことを書き加える必要はありません。

例:


インボックスは空です
すべてのタスクがプロジェクトに整理されています。(Todoist



すべてのタスクを完了しました!
お疲れさまです。(Todoist

なぜこの画面が重要か

  1. パーソナルな経験
    汎用で関連のないエンプティステート画面は、プロダクトを無機質なものに感じさせます。状況に応じたエンプティステートがあれば、ユーザーは自分が見られていること、自分のゴールが注目されていること、そしてその成功が祝福される理由がわかるのです。
  2. 元気づけられる
    励ましのエンプティステートは、ユーザーに自信を持たせることができます。褒め言葉は、ユーザーと褒めてくれたプロダクトの絆を強めることが分かっています。笑顔にもなるでしょう :)

タイプ5:今すぐアップグレード

その機能が現在の契約プランに含まれていないため、ユーザーがデータを見ることのできない状態。ユーザーがデータを見るにはアップグレードが必要です。

システムには表示すべきデータがあるため、これはエンプティステートとは言えませんが、データをユーザーが利用できないため、エンプティステートに似ています。

このようなエンプティステートは、ユーザーに有料プランへの加入やアップグレードの動機付けをする絶好の機会です。なぜなら、ユーザーがこの画面にたどり着いたということは、この情報に興味があるに違いないからです。

ですから、「このデータはPROプランでのみ利用可能です。今すぐアップグレードしてください」のように書くのは本当にもったいないことです。その代わりにこの画面では、プロダクトマーケティングの原則に従って、具体的にこの機能がどのようにユーザーに役立つのか、その機能の価値を示すことができます。

以下に、いくつかの例を挙げます:


リマインダー
すべてを楽に思い出す秘訣は?アップグレードして、Todoist ProまたはBusinessにリマインドを任せましょう。詳しくはこちら。
[CTA]今すぐアップグレード(Todoist


バックアップ
自動バックアップで、データ紛失の心配がなくなります。今すぐアップグレードして、心の平安を手に入れましょう。
[CTA]今すぐアップグレード(Todoist



インサイトにアクセス
今すぐ60日間のトライアルを開始し、ユーザーがどこでつまづいているかを確認しましょう
[CTA]無料トライアルを開始 / さらに詳しく(Walkme

タイプ6:検索結果がヒットしない(フィルターなしの検索窓)

ユーザーが検索フィールドに直接単語やフレーズを入力しても、システムからなんの結果も得られなかった状態。

ではもし、「検索結果はありません」と書きたくない場合、何を書けばいいのでしょうか?

  1. 見出し - 責任を持って、「お探しのものは見つかりませんでした」のようなコピーを書かねばなりません。
  2. また、状況やプロダクトによってはいくつかの選択肢があります:
    - 基本に立ち返る:入力キーワードを修正または変更するよう提案する
    - 検索した語句に関連する結果を提示する
    - 高度な検索(検索オプション)を提案する
    - 探しているものが見つかったらお知らせすると伝える。
    - 探しているアイテムをWebサイトやプロダクトに追加することを提案する

例:


すべての単語のスペルが正しいことを確認する。
キーワードを変えてみる。
より一般的なキーワードで試してみる。


一致するタグがありません
別のキーワードを試すか、Ctrl+Enterキーを押して新しいタグを作成してください。(Toggl)

タイプ7:検索結果が得られない(フィルターあり)

ユーザーが検索フィルターを設定したが、システムが検索結果を得ることができなかった状態。

では「検索結果はありません」と書きたくない場合、どう書けばいいのでしょうか?

  1. 責任を持って、「検索条件に一致する結果は得られませんでした」のようなコピーを書かねばなりません。
  2. 状況やプロダクトによっては、いくつかの選択肢があります:
    - 基本に立ち返る。フィルターを外すか、検索範囲を広げることを提案する。
    - 最も適した結果を提示する(自動的に検索範囲を広げ、興味を引くかもしれない他の関連結果を提案する)。
    - そのアイテムが入手可能になったら、知らせるよう提案する。

例:


ログが見つかりませんでした
別のIDで検索してみるか、選択したフィルターのチェックをいくつか外してみてください


選択された時間範囲にデータがありません。別の範囲を選択してみてください。

誰か開発者を今すぐ呼んで

これらの事例を見て、開発者を必要とするケースがあることにお気づきでしょうか。

  • この記事で説明した特定のシチュエーションとは異なる、それぞれの状況に紐づいたエンプティステートを表示する場合。
  • そのエンプティステートが、初回利用時(タイプ1)のものか、それともアイテムの削除後(タイプ4)のものかを判断する場合。
  • データの取得開始までにどれくらいの時間がかかるかをユーザーに正確に通知する場合(タイプ3)。
  • 検索結果が出なかったときに、役立つ提案をする場合(タイプ5と6)。

エンプティステートには、価値があるだろうか?
もしあなたのゴールが、ユーザーにプロダクトを最大限に活用してもらい、できるだけ多くの価値創造のアクションを実行してもらうことであるなら。そしてユーザーに快適で能力があり、そして自分を見てくれている、気にかけてくれていると感じてもらいたいのならば、「YES」です。

エンプティステートには、それだけの価値があります。



執筆者プロフィール:キネレット・イフラ( Kinnert 
Yifrah

イスラエルのトップクラスのマイクロコピー専門スタジオ、ネマラの代表。デジタルプロダクトのコンテンツとマイクロコピーのライティングで10年の実績を誇り、あらゆる業界、あらゆる規模の企業のためにボイス&トーンのデザインを続けている。
著書:UXライティングの教科書(翔泳社)  |  オンラインコース LinkedIn